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中央競馬で行われる日曜日の重賞レースの展望を中心に、競馬にまつわるお話をお届けします。

【重賞展望_弥生賞(2018)】連載スタート!~福永祐一ダービーへの道~第1回 あれから20年、福永騎手の現在地

んー、中山記念はスタートでおしまいでした。

まあ、ああなってしまっては…という予想でしたので、仕方ないとして、切り替えていくしかないですね。

さて、今週の重賞展望はちょっと趣向をかえて。

今日からダービーまで、3歳クラシック路線のワグネリアンが出走するレースについては『福永祐一ダービーへの道』と題し、ワグネリアン、およびその鞍上である福永騎手にフォーカスを当ててお送りしたいと思います。

先週は奥様ご懐妊のニュースもあり、予定ではダービー直後に生まれるそう。

何かとタイミングが良すぎるのは、やはり'持っている'ゆえでしょうか?

そんな'持っている'男、福永騎手。

第1回となる今回は、彼の'持っている'ルーツ、1998年の日本ダービーのお話です。

◆節目の20年、これが流れなのか…

1998年のダービーと言えば、スペシャルウィーク。「武豊でもダービーは勝てない。」と言われた武豊騎手が10回目の挑戦にして、ようやく栄冠を手にしたレースとして有名です。

ですが、そんな日本競馬界におけるメモリアルな1日の裏で、恥辱にまみれた一人の男。それが福永騎手でした。

当時の福永騎手はデビュー4年目、1年目から順調に勝ち星を積み重ね、前年には重賞初勝利をあげるなど、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いで、天才と称された父 洋一さんの看板に恥じない活躍を見せていました。

そんな福永騎手のダービー初騎乗となったのが、この1998年。

パートナーは、デビューから手綱を取り、未だ最強世代との呼び声高いこの世代において、間違いなくその顔役の1頭であった皐月賞2着から参戦のキングヘイロー

洋一さんの夢であったダービー制覇が、早くも手の届くところにありました。

しかし、結果はご存じの通り14着に惨敗と、栄冠に手が届くどころか、指の一本すらかけられないある意味競馬史に残る大敗を喫することになります。

福永騎手曰く、「スタートで軽く仕掛けたら、行ってしまった。」というこの暴走は、『キングヘイローの呪い』として、今でもダービーの季節には語り草になっているほどで、福永騎手にまとわりつく勝負弱いイメージをキャリア4年目にして十分に植えつけるだけのインパクトある敗戦でした。

そんな最悪の初騎乗から20年。

福永騎手にとっては2013年のエピファネイア以来5年ぶりにダービーを本気で狙える馬と廻りあいます。

それが東スポ杯2歳ステークスを快勝し、祖母に伝説の追い込み馬ブロードアピールを持つ、ディープインパクト産駒のワグネリアンです。

そして、このワグネリアンは、あのキングヘイローと同じく東スポ杯を勝ったのみならず、ローテーション、脚質、気性とも瓜ふたつ。

特に目の醒めるような末脚の破壊力と、これは福永騎手自身も言っているように、確実に折り合いがキーになるところもまさにキングヘイローそっくりで、これは何かの因果としか言いようがありません。

昨年、史上2番目の早さで2000勝を達成し、通算勝利数では歴代6位。今や歴史に名を残すだけのジョッキーとなった福永騎手。

それでも、これほどの勝利数を上げていてもなお、『キングヘイローの呪い』なのか、保持しているタイトルはやや地味め。

20年前に受けた屈辱、以来ずっと言われ続ける勝負弱さを払拭するにふさわしい、そんな'流れ'を感じる今年2018年のクラシック。

本当のトップジョッキーになる戦いがはじまります。

◆強いのはお前だけじゃない

さて、ここからが弥生賞の展望。

皆さんもご存じの通り、今年の3歳は1998年世代にも負けず劣らずハイレベルと言われており、ワグネリアンも含め、世代を代表する馬が顔を揃えたここは、当然のごとく少頭数となりました。

さらに、同じく少頭数だった東スポ杯とは異なり、大胆な逃げを打ちそうな馬がいないことから、中山というトリッキーな舞台も相まって操縦性、つまり折り合いがこのレースのカギを握ると思われます。

そうなると、朝日杯では明らかに行きたがっていたダノンプレミアム、前走のパドックで馬っ気を出していたオブセッションは、積んでいるエンジンの出力はバケモノ級でも、まだまだそれを制御できておらず、ワグネリアンにしても福永騎手が折り合いに課題があることを明言しているように、能力的には抜けていても、レース以外のところで足をすくわれる可能性があると言えます。

なのでこのレースについては、能力よりも競馬の上手さ、レースセンスのある馬を優位にみて、この馬から買ってみようと思います。

◎ 3枠3番 ジャンダルム

距離適性、持ち時計など、単純な能力比較では、3強に劣ることは否めません。

それでも、短距離志向の強い母系ながら折り合いに注文がなく、勝ったデイリー杯にしても急遽の乗り替わりだったにも関わらず、器用に立ち回ってみせたことは評価に値します。

また、ロスのない競馬ができるこの枠も確実にプラス材料。

スルスルっと抜け出してくるシーンは十分に考えられるでしょう。

○ 7枠8番 ワグネリアン

あれだけ色々言いながら本命じゃないんか?

そんなお声もごもっともですが、やはり折り合いを欠いてチグハグになる可能性が0ではないため、今回はここまでに止めたいと思います。

ですが、能力的には◎よりも上だと思いますので、勝って不思議なしの対抗評価といったところです。

☆ 8枠10番 サンリヴァル

この馬についてはダノンプレミアム次第だと思っていて、ダノンが背後で折りあってしまえばもうアウト。

それでも折り合いを欠いて道中消耗するようなことがあれば、逆にこの馬のペースに持ち込むことができるわけで、レースをコントロールし出し抜けを図ることもできるのでは…と思っています。

※サンリヴァルと同じ理由でリビーリングもトリガミを良しとするなら抑えておくのもありだと思います。

あとは触れないわけにはいかない2頭、ダノンプレミアムとオブセッションについて。

双方ともそこまで評価しなかった理由としては、現在の気性面での課題に対し、ちょっと立ち回りが難しい枠に入ってしまったことが最も大きく、ダノンは壁が作りづらい。

オブセッションは窮屈になって走りづらくなる可能性があるため、能力で何とかしてしまうことは十分に考えておきながらも印でいえばダノンプレミアムが▲、オブセッションが△一番手くらいなイメージでいます。

以上、今日はお話半分、展望半分でお届けしましたが、ワグネリアンが故障してしまったり、私の独断と偏見でワグネリアンがクラシックで通用しないと思ったとき以外は、ダービーまでこの連載仕立て形式を続けていきますので、一緒に感情移入しながら今年のクラシックを楽しめればと思います。

それでは、来週はラッキーライラックを倒す馬は現れるのか?もうひとつの桜花賞トライアル、フィリーズレビューの展望をお送りしますので、また土曜日の夜にお会いしましょう。