hanakota horse club

中央競馬で行われる日曜日の重賞レースの展望を中心に、競馬にまつわるお話をお届けします。

<平成最後の有馬記念特集>第一回 私的平成有馬五番勝負

宣言通り(良いことではありませんが……。)、2週間のお休みをいただき、これまたお約束通り、有馬記念ということで戻って参りました。

今日から始める有馬記念特集では、3回に渡りさまざまな角度から週末の有馬記念を楽しめるよう、レースの展望はもちろんのこと、平成最後の開催となる競馬の祭典を盛り上げるべく、微力ながら皆さんの予想の参考に、また有馬記念ウィーク独特のワクワク感を少しでも味わっていただけるよう、渾身の3本をお届けできればと思います。

そんなわけで今日の有馬記念特集第一回は、平成30年間における「私的有馬五番勝負」をお届けして参ります。

以下、ランキング方式でご紹介していきますが、私の年齢がいま32歳、競馬を本格的にやるようになったのが2013年ごろ、知っているレベルで2005年ごろとなりますので、そのあたりは何となくお察しいただけますと幸いです。

第5位 平成26年(2017年) 牝馬の時代のひと
区切り

勝ち馬:ジェンティルドンナ

ちょっとお恥ずかしい話なのですが、初めて有馬記念を生で観戦したのが、この第59回 平成26年有馬記念でした。

そのため、「有馬記念を初めて生で観た」という思い出が最も強く鮮明なのですが、実はこのレース、GⅠ5勝のゴールドシップのほか、世界レーティングNo.1のジャスタウェイキズナ世代の最強馬で前走ジャパンカップを圧勝したエピファネイアなど、出走馬16頭中10頭がGⅠ馬、なんとその通算のGⅠ勝利数は25を数える史上最強ともいって過言ではない豪華メンバーの競演となったレースでした。

そんな並みいる強豪を向こうにまわし、7個目のGⅠタイトルをもぎ取ったジェンティルドンナ

いまにして思えば、ウォッカのダービー制覇にはじまり、そのウォッカと熾烈な戦いを演じたダイワスカーレット、その後ブエナビスタと続いた「牝馬の時代」にひと区切りをつける、そんなジェンティルドンナの有終の美だったといえるでしょう。

第4位 平成12年(2000年) 古きよき時代の古きよきサクセスストーリー

勝ち馬:テイエムオペラオー

当時私は中学2年生。特に競馬をやる家族もいなかったこともあり、そのときのことは「競馬の世界にテイエムオペラオーというトンでもない強い馬がいる」これくらいの印象しか持っていませんでした。

しかし、競馬にのめり込むようになり、いろいろと調べたりして知ったのは、いまの競馬では考えられないような人馬の絆、騎手とその師匠である調教師、オーナーの寛大な理解……、さまざまに折り重なる人と馬、そして人と人との想いのつながりががんじがらめの包囲網をこじ開けたあの瞬間は、"もし中2の私が競馬バカなら"きっと大興奮したであろう、いまの競馬の世界では考えられない古きよき時代の競馬のお話です。

第3位 平成18年(2006年) 鳥肌ものの4コーナー

勝ち馬:ディープインパクト

私が競馬バカになったルーツ。これがどこにあるか?といったとき、ディープインパクトの存在なしには語ることはできません。

というのも、当時はまだ特別競馬が好きなわけでもなかったにも関わらず、私たちに鮮烈な印象を与えた若駒ステークス以降、ほぼすべてのレースを当時でさえ覚えていたわけで、競馬バカとなったいまもなお、本当に強い馬というは、ディープ並みのインパクトがなければ、それは強いとはいいづらい、そんな勝手な固定概念すら抱かせるものになっています。

そして、ディープのラストランとなったこの年の有馬記念。いつもの後方待機から悠然と駆けあがる4コーナーのあの一瞬は、競馬ファンならず日本中に夢を与えたディープインパクト最後の衝撃として、それまでのすべてのレースが走馬灯のように甦る、そんな至福のひとときでありました。


第2位 平成25年(2013年) ここは花道かランウェイか!?ラスト310mのオルフェーヴル劇場

勝ち馬:オルフェーヴル

第2位は私のなかの最強馬、オルフェーヴルの引退レースとなった平成25年を取り上げます。

まあ、なんといってもこのレースは、暴力的ともいえるオルフェーヴルの強さ(ときにその狂暴な強さが空回りすることもありましたが……。)が際立ったレースであり、4コーナー出口ですでに勝負あり!

そこからゴールまでの310mの直線は、歌舞伎でいうなら花道、ファッションショーならランウェイかと見紛う、世界の頂に最も近づいた日本馬にふさわしいラストランでした。

第1位 平成19年(2005年) 若きルメール騎手、乾坤一擲の一鞍!日本近代競馬の結晶を競り落とした瞬間

勝ち馬:ハーツクライ

平成有馬五番勝負、映えある私的No.1は、平成19年(2005年)の有馬記念です。

すでにシンボリルドルフ以来、史上2頭目の無敗の三冠馬として競馬ファンならずともその一挙手一投足に注目が集まっていたディープインパクト

誰もが「ディープが勝つもの」と思い向かえた最後の直線……、いつもの通りの後方から"飛んで"きたディープが捕らえられない1頭が……!

それこそ、まだ短期免許での来日で当時20代のルメール騎手騎乗のハーツクライでした。

このとき、おそらく人生で初めて有馬記念を観るためにテレビを点けた私からすれば、「ディープも負けるだ……」としか思えなかったものの、その後競馬バカとなり、それまでのハーツクライが追い込み一辺倒の競馬しかできなかったこと、前走ジャパンカップであの「アルカセットの2分22秒1」と同タイムで差しきれなかったことを知り、この勝利が偶然の産物でも、ディープが"飛ばなかった"わけでもなく、人馬が呼吸を合わせ、いままで誰もやったことのない先行策という大博打を成功に導いた、まさに乾坤一擲の一鞍であったことは、これぞ競馬バカが選ぶ平成史上最高の有馬記念だと思うゆえんであります。

以上が私が選ぶ平成有馬五番勝負となるわけですが、私より歴の長い競馬バカなら、オグリキャップのラストランや、トウカイテイオー奇跡の復活、スペシャルウィークVSグラスワンダー 至高の叩きあい、穴党の方ならダイユウサクマツリダゴッホ、ほかにもシンボリクリスエスの圧勝劇やダイワスカーレットの鮮やかな逃走劇など、皆さん人それぞれに「平成最高の有馬記念」があることでしょう。

そして、平成最後となる今週末の有馬記念

奇しくも天皇誕生日の開催となれば、何か競馬界の歴史に新たな伝説となる1ページが刻まれるやもしれません。

次回、平成最後の有馬記念特集 第2回は、何かあるならおそらくこれしかないでしょう!

『稀代の障害王 オジュウチョウサン、前代未聞の挑戦の勝機はいかに!?』と題し、私なりのオジュウチョウサンへの見立てを、買える・買えないの視点から論じてみたいと思います。

<重賞展望_チャンピオンズカップ(2018)>2週連続の偉業はなるか?ーダート新時代の趨勢を占う

2分20秒6の衝撃。

あれから一週間が経ついまも、その余韻に浸りきっている私ですが、つくづくあのレコードというのは感慨深いもので、不朽の世界レコードとされたホーリックスの2分22秒2から数えること30年。何の因果か、その30年後にあたる平成最後の年に、その30年間でたった0.1秒しか縮まらなかった記録をいとも簡単に1秒以上更新されることになるとは……。

しかも、その新たな世界レコードがついに日本馬によってなされた記録であるということもまた大きな意味を持っており、ジャパンカップが真の意味で「日本馬の、日本馬による、日本馬のための」レースになった瞬間といえ、いまでは凱旋門賞を勝つのも時間の問題といわれる日本馬の実力を示すのに十分過ぎるインパクトを与えるものとなりました。

さて、今週もそのアーモンドアイと同じ3歳馬に注目が集まる下半期ダートの総決算、チャンピオンズカップ中京競馬場を舞台に行われます。

そんなわけで、まずはアーモンドアイに続く快挙達成はなるか?ルヴァンスレーヴに対する私なりの所感から展望をはじめて参ります。

そもそも3歳馬の活躍は?

2000年に始まったジャパンカップダートの時代から場所や名を変え今年で19回目となる下半期のダートGⅠ。

過去18回のうち、3歳でレースを制したのは3頭を数え、1/6は3歳馬が勝っているというのは意外にも多い印象を受けます。

しかし、2006年のアロンダイトを除く残りの2頭は2001年のクロフネ、2005年のカネヒキリと、いずれも歴史に名を刻むだけの名馬であり、まずはルヴァンスレーヴがこの2頭に比肩しうる実力を持っているのか、ここまでの戦績を比較しながら測ってみたいところです。

はじめに共通点を探っていくと、クロフネカネヒキリともに既にGⅠ馬であったということ、それはルヴァンスレーヴにも同じことがいえるわけで、さらにいうなら、同世代のなかではこの時点で抜きん出た存在であった。そして、あることは疑いないでしょう。

対して、クロフネカネヒキリと比較して不安になる点は、2頭はそれなりのポジションは取ることができていた(カネヒキリ武蔵野ステークスで出遅れてますが……。)のに比べ、ルヴァンスレーヴは、すべて大味に外を回して、能力差や身動きの取りやすい枠や展開に恵まれてきたということを忘れてはならず、今回2枠2番に入ってしまったことは不安意外の何物でもありません。

JDDでは1枠1番から「下げて差す」という離れ業をやってのけたとはいえ、メンバーレベルも格段に上がり、機動力も問われる舞台設定であることからすれば、上手くゲートを出て、流れに乗れば圧勝まであっておかしくないものの、大方の不安通りスタートが決められなかった場合、最後に差してきても掲示板止まり、そんな結末も十分にあり得る、印としては▲が最もらしい評価といったところでしょう。

ポイントは向こう正面

今回のメンバー構成は、中距離よりももう少し長い距離を得意とする馬が多く、かつ先行馬が少ない顔触れとなっています。

しかもその先行馬が、今回の1800mよりも長い距離を得意とするタイプの馬であり、序盤のペースは緩く、隊列の決まりもスムーズになると予想することができます。

そうなると、この先行するであろうスタミナ豊富な先行勢が俄然有利な展開となり、いわゆる"行った行った"の競馬になることも考えられます。

しかし、そうはさせじの差し・追い込み馬はノーチャンスかといえば、そうではなく、そのカギを握るのが7枠13番のミツバ。

出足は"死ぬほど"遅いため、今回も確実に後方からの競馬となると思われますが、この馬の戦法は向こう正面からのマクり、からの粘り込みなわけで、悠々先行していくであろうサンライズソアやケイティブレイブにどれだけプレッシャーを掛けられるのか、はたまたスタミナに自信のあるこの2頭が後ろからの仕掛けを許さないペースコントロールをするのか、ミツバが仕掛けてくるであろう向こう正面は、このレースにおける最大の注目ポイントとなることでしょう。

それでは、この攻防の決着、その予想も踏まえた私の印をご紹介します。

◎ 5枠8番 ケイティブレイブ

結論からいえば、向こう正面の攻防を制するのは先行勢、なかでもこのケイティブレイブだと思います。

というのも、この馬自身は1800mよりも2000mで強さを発揮できる馬であり、まずスタミナが豊富であること、また地方の競馬場で活躍していることからコーナリングなどの機動力に優れ、スタミナにものを言わせた追走力を持っていることから、ある程度緩めの入りができればミツバが絡んでくるであろう地点からでもゴールまで"保たせられる"ことはでき、弱点となるキレ味のなさを補える展開を自ら作り出すことができれば、好走できる算段は非常に高いといえるでしょう。

あとはその展開を福永騎手が演出できるかどうか、この馬とは長くコンビを組んでいるだけに強気のエスコートを期待したいところです。

◯ 5枠9番 サンライズソア

おそらく逃げるのがこの馬。

しかもこの馬の逃げは淡々と平均的なラップを刻むもので、あまり緩みを作らないのが特徴です。

実をいうと、ケイティブレイブを本命にしたのはこの馬の存在が大きく、上述した逃げのスタイルを考慮した場合、後ろからこれるかはかなり微妙なものとなり、先行勢で決着する公算が立つということです。

でも、この馬を対抗としたのは、やはりどうしたって目標にはなってしまうほか、お世辞にも乗りやすいとはいえないタイプで、いかにモレイラ騎手といえど、初めての中京で力を発揮してあげられるかが懐疑的にならざるを得ないからです。

▲ 2枠2番 ルヴァンスレーヴ

理由は先ほど触れた通り。出れば圧勝まであれど、出なければ惨敗も?な評価です。

△ 3枠5番 ノンコノユメ

△ 7枠12番 ウェスタールンド

この2頭はまとめて。

基本は先行有利とみているものの、ケイティブレイブサンライズソアはともにスタミナ豊富なステイヤーに近いタイプ。

つまり、早めから仕掛けていくことで振り落とされる馬は当然いるわけで、それに替わって台頭する馬、そう直線で脚の速さだけで何とかする馬としてこの2頭を抑えておくことにします。

△ 2枠3番 パヴェル

BCクラシックは大敗してますし、GⅠ勝ちもハンデ戦でのもの。

それでもアメリカのトップレベルでそこそこに安定して走ってはいて、輸送や初めてのコースなど、どうしても不利な要素はあるものの、能力的には足りていて不思議なし。

☆ 8枠14番 ヒラボクラターシュ

3歳勢のなかでは伏兵扱いの存在ですが、この馬、多分この舞台は向くと思います。

幸いにして自由度の高い枠を引くこともできており、持ち前の機動力でどこまで?となりますが、それこそ強いケイティブレイブサンライズソアに食らいつくことができれば、「行った行った」になったとき、この馬が残っているシーンがあっても良いでしょう。

※見送った有力馬

サンライズノヴァとオメガパフュームは見送りとした。

理由としては双方とも機動力に欠けるうえ、印るを回したノンコノユメウェスタールンドよりもエンジンの掛かりが遅いからで、仮に持ち味の末脚が発揮されても、それが馬券圏内に届くまでとはならないと読んでいます。

以上、今日は久しぶりにたっぷり時間があったこともあり、じっくり書くことができました。

でも、来週、再来週あたりはまたどうなるかは???な感じで、もしかすると2歳GⅠの2回は更新をお休みさせていただくかもしれません。

その場合、次にお会いできるのは有馬記念となりますが、さすがにそこは何がなんでも更新しますので、レースの展望だけでなく、有馬記念にまつわるさまざまなお話も一緒にできたらと思います。

それでは、「2週間休みますよ」と言ってるようなものですが、次回お会いできる日を楽しみにしていただけますとうれしいです。

明日は久しぶりに師匠、ねいたん、んまんま君との競馬デー。中山の指定席に朝からいって参ります!!

<重賞展望_ジャパンカップ(2018)>ハダカの乙女は好きですか?ハイ!もちろん!大好きです!!

今日は、こんなに"イヤな"ジャパンカップのレース展望をお届けしなければなりません。

我ながら不謹慎なタイトルということはわかりきったことですが、ちょっとでもおもしろくできるよう、まずは今年のジャパンカップを"イヤ"にしているあの馬について、私なりの寸評から参りたいと思います。

男なら誰でも……。

目の前に高校を卒業したてくらいの美少女がいたとします。しかもハダカで……。

これに飛びつかない男性は……、いないわけないですよね?

何が言いたいかというと、このレースにおけるアーモンドアイは、そのくらい絶対的な存在ということです。

同世代の牝馬相手とはいえ、負けてもおかしくない展開だった秋華賞は当然のこと、これまで魅せてきたパフォーマンスは今の日本の競馬界では頭ひとつどころか、古馬のトップレベルと比べもケタ違いのものはあり、しかもそのレベルの馬が53kg、これは文字通りハダカ同然で出てくるわけですから、枠順、並びの関係を抜きにすれば、死角はまったくない、世間でみられている評判とまったく同じ評価でいました。

しかし、実際に入った枠順は1枠1番。戦前の私の見立てとして、「最内に入ったときだけ」が死角になりうると思っていたわけで、まさにそれが現実のものとなりました。

加えて全体の並びも外側の枠に先行したい馬が集まったため、最初のコーナーまでのポジション争いは激しくなるものと考えられ、内枠だからといって下手に出していくようだと、それこそ飛んで火に入る……、なことにもなりかねず、かといって思い切り下げて大外を回す競馬を選択するには少しリスキーな高速状態にある馬場のなか、これまではどこであろうと進路さえつくれば良かったところ、今回は今までに経験のない馬群の中での競馬をするのか、アーモンドアイの決め手に賭け、いっそ後方まで下げるのか、このあたりの戦略、我々からするれば予想をする際の大きなポイントとなります。

とはいえ、このレベルの馬が"ハダカ"で出走するわけですから、前有利の高速馬場で差しきれないことはあったにせよ、相手の数も、そして質も揃わなかった今回、さすがに馬券圏内を外すとは到底考えられず、本命を打つことはやむを得ないというのがアーモンドアイへの私の評価となり、明日の注目は牝馬三冠+ジャパンカップ制覇の偉業が達成されるか否か、それだけを観に行くジャパンカップとなることでしょう。

では、相手は?

アーモンドアイへの評価がこれですので、相手はある程度絞らなければなりません。

ここでは展開から考えられる「◯◯なら(れば)」の相手候補を3頭紹介します。

脚の速さが活きれば
4枠5番 ミッキースワロー

これまでの競馬からポジショニングの不安はあり、そもそもここで通用する土台があるのかも?なところはありますが、良馬場でエンジン全快になったときの脚の速さだけならアーモンドアイと唯一対峙できるスピード、その速さの持続力は持っています。

課題はやはりポジショニングで、2000mだった大阪杯札幌記念より2ハロン延びてペースが緩むことで、この課題をクリアし、アーモンドアイに呼応して進路を確保できれば、相手として十分な器といえるでしょう。

止まらない馬場を活かせるなら
5枠8番 キセキ

広くノビノビ走れる府中、しかも今の馬場状態はこの馬のためにあるといっても過言ではないでしょう。

それに秋華賞で"あわや"を一瞬でも感じさせたミッキーチャーム同様、相手としてアーモンドアイをよく知る川田騎手の騎乗も心強いところです。

ただしキセキ自身が好走した毎日王冠天皇賞とは異なり、今回序盤の攻防がやや激しくなることが見込まれるだけに、そこで脚を使いすぎてしまうリスクは前走、前々走以上にあることは忘れてはいけません。

なので印でいえば△の上の方、このくらいの評価が妥当なラインかもしれません。

穴で一考するなら
4枠6番 サンダリングブルー

今回来日した外国馬2頭は前回も触れた通り、ゴリゴリの欧州仕様の馬。

ただでさえ日本の硬く速い馬場には合わないのに、今の高速馬場でまんま通用するとは少し考えづらいところがあります。

しかし、アーモンドアイが後ろからくることを想定すれば、各ジョッキーの意識は自ずと「早め早め」となり、4コーナー、大欅あたりからのロングスパートに持ち込まれる可能性もあります。

そんなとき浮上してくるのがこの馬で、速さよりも息の長さに重きが置かれる展開となったとき、3着くらいにしぶとく差し込んでくるイメージは持てなくもありません。

いずれにせよスピードの絶対値では明らかに劣るので、穴であることに変わりありませんが、少しは抑えておきたい1頭です。

この他、サトノダイヤモンドシュヴァルグラン、スワーヴリチャードの3頭は、"普通に走れば"紹介した3頭より上にみるのは当然で、ここで2、3着にきても何ら不思議ない存在。3連系の馬券を買う場合は必ず買わないといけない馬となります。

以上、今日は"イヤな"はずなのにきちんと書いたジャパンカップの展望をお届けしました。

繰り返しになりますが、今年はジェンティルドンナ以来の快挙達成のみが焦点となるジャパンカップですが、それはそれでなかなか見られる機会でもないため、それだけのために明日は府中へと馳せ参じる予定です。

それでは、また来週。次回は中京で行われる下半期のダート王決定戦、こちらも真の怪物誕生となるか!?ルヴァンスレーヴが登場するチャンピオンズカップの展望でお会いしましょう。

<重賞プレビュー_ジャパンカップ(2018)>こんなジャパンカップはイヤだ!

早いもので今週は2018年最後の府中開催。そういえば、去年はシュヴァルグランの強さ、というかボウマン騎手の手綱捌きに度肝を抜かれたなあ……、なんて思い出に浸ってるわけですが、今年も時を同じくして、ジャパンカップがやってきます。

が、なかなかテンションが上がらないんでよねぇ。

それもこれも、あの怪物牝馬の"せい"なわけですが、今日は毎年「ああでもない」「こうでもない」といわれるジャパンカップを、さらに今年ならではの愚痴っぽいことを交え、『こんなジャパンカップはイヤだ!』と題し予習してまいります。

外国馬の参戦が2頭

かれこれジャパンカップで外国馬が馬券に絡んだのは2006年(だったような気がします)のコンデュイットを最後に早12年。

以来、掲示板くらいにはちょくちょく顔を出すものの、馬券圏内はおろか、それを期待される馬もほとんどいないような状況となっており、「日本のチャンピオンコースで行われる、日本馬による古馬の頂上決戦のひとつ」となって久しい状況です。

それでも、毎年4~5頭は外国馬の参戦はあったわけで、かたちのうえでは国際競走たるべき、体は保っていたといえます。

しかしながら今年参戦を決めた外国馬はたったの2頭。ついに質だけでなく、数も揃わなくなってしまったわけですから、これでは外国馬にも門戸が開かれている他のGⅠと何ら変わらず、いよいよ「ジャパンカップ」の名を冠することすら憚られる「府中記念」ともいうべき、ただ賞金がやたら高い国内GⅠになり下がったといえるでしょう。

大体ミルコかルメール

今年出走を予定している日本馬11頭のうち、GⅠ馬は7頭、合計で10個のGⅠタイトルを獲得しているのですが、実にこの内の8個までがミルコ騎手かルメール騎手、さらに残りの2個にしても他の外国人ジョッキーによる勝利となっています。

つまり、どの馬についてもメイチのときは「大体ミルコかルメールか」なわけで、彼らが選んでいない馬は、彼らが選んだ馬に勝てる公算は低いということが手に取るようにわかってしまい、彼らが乗るか乗らないか、その取捨に悩むような馬(レイデオロはその典型)は、そもそも登録すらしていない、何とも予想のしがいのないメンバー構成。

これじゃあ、ジャパンカップでなくてもちょっとヤル気が失せますよね……。

他にもミルコとルメールの馬て、ほぼほぼ社台だよね?とかツラツラと書けばそれこそ"キリ"がありませんが、あのジェンティルドンナ以来の3歳牝馬による牝馬三冠+ジャパンカップ制覇をこの目で見届けられるチャンスであることに変わりはありませんので、もうそこだけを楽しみに今週も府中へ馳せ参じる予定でいます。

今日は完全に愚痴回となってしまいましたが、次回、週末の展望では、しっかりとレースの中身を考察し、アーモンドアイの快挙達成がどれほど現実的なのかを検証してまいります。

最後に、なんでマイルチャンピオンシップの展望は書けないでこれは書けるのか?それは予め書いていたからです(^-^;

このあたりはあしからずでお願い致します。

<重賞展望_マイルCS(2018)>今週は軽くで失礼します。

GⅠですけど、すみません。

今週は軽くで失礼し、マイルCSの印だけ、ご紹介させていただきます。

◎ 4枠8番 モズアスコット

今年のメンバーはこのモズアスコットをはじめ、ペルシアンナイト、アエロリット、エアスピネルアルアイン。このあたりはかなり拮抗した力関係で、実力的にはどの馬が勝ってもおかしくありません。

しかし、状態面や鞍上、枠順、モズアスコット以外には割りと明確な不安材料があり、力を発揮できないリスクが多いとみています。

そのモズアスコットにしても、ポジション取りで不安がないわけではありませんが、良馬場でできるのであれば、脚はしっかり使える馬ですので、軸という意味では最も信頼がおける存在といえるでしょう。

◯ 1枠2番 ペルシアンナイト

さすがに前走は59kgが堪えた感じで、本来の伸びはみられませんでした。

しかし、その前走のような瞬発力オンリーの勝負はどうしたって苦手な部類の馬ですし、今回はそこそこ時計の掛かる馬場で、持続力を求められるなら、この馬の連覇も十分ありえるとおもわれます。

ただしこの馬にとってはちょっとやりづらい、というよりポジションが取れないとなんともな枠なわけですから、◎との比較はこの枠順の差で対抗までの評価としました。

▲ 2枠3番 アルアイン

この馬もペルシアンナイト同様、久しぶりのマイルで普段通りのポジションが取れるかがカギとなります。

もし取れれば天皇賞でもあのメンバー相手に互角にやれるわけですから、その持続力あるスピードで押しきりを図るシーンはあるかとおもいます。

△ 4枠7番 ロジクライ

今回は外めの枠に先行する馬が多く、そこにいるアエロリットらに巻き込まれオーバーペースになる危険はあるものの、この馬自身は逃げる必要は全くなく、ある程度どんな展開にも対応できるのは強みとなります。

その自分の競馬ができるかどうかはゲートが開いてみないことにはなんともですが、ここも堅実にやってくれるなんてこともあるでしょう。

△ 7枠15番 アエロリット

条件的には悪くなく、枠や並びにも恵まれたといえるでしょう。

しかし、テン乗り、輸送、ムーア騎手といえどトリッキーな淀でどうか?など不安材料は割に明確であり、能力から印は回しますが、これ以上でもこれ以下でもない評価です。

△ 1枠1番 ステルヴィオ

古馬の強いところと十二分に渡りあった毎日王冠の内容から能力で足りないということはないでしょう。

それでも久々の来日となるビュイック騎手がこの枠で京都をこなせるかは?でしかなく、馬にしても追走力ではまだ未知数なところもあり、末脚の威力だけで圏内に飛び込んでくることはあっても……、くらいの感じです。

☆ 8枠18番 ケイアイノーテック

枠の並び的に入りが速くなり、いずれにせよアエロリットが後続の脚を削ぐような展開になること、良馬場とはいえ時計がそこそこ掛かる馬場を踏まえると、外めを悠々出しきる馬が台頭してもと、個人的にはおもっており、この馬の息の長い脚が活きてもおかしくはないとおもわれます。

それでもなお前の馬が強かった、ということはあるとおもいますが、「どっからきたの!?」的にゴール直前飛び込んでくる候補として、穴にはこの馬を推したいとおもいます。

この他にも有力な馬が数多くいますが、粗を探すと印をつけた馬よりもその数や、大きさで不安が大きく、レッドアヴァンセあたりは悩みましたが、今回は見送りとしました。

以上、来週はジャパンカップとなりますので、あくまで「できたら」ですが、週2回更新でお届けできるようがんばろうとおもいます。

今日はあっさりで失礼致します。

<重賞展望_エリザベス女王杯(2018)>道中での位置取りと、追い出しのタイミング

なんだかGⅠでも予習を書かないのが普通になってしまった感じもありますが、ここから年末までは、毎週GⅠとなりますので、展望だけでもがんばりたいところです。

では、連続GⅠの幕開けにして、秋シーズン後半戦のトップを飾る牝馬決戦!エリザベス女王杯を展望してまいります。

ポイント① 序盤のポジショニング

このレースが行われる京都芝2200mは、例えるなら秋華賞が行われる2000mのコースをそのまま外回りに替えたイメージの形態をとっています。

そのため、スタートから1コーナーまでの入りが激しくなりやすく、それこそ秋華賞でのミッキーチャームしかり、外枠から先手を取るにはスタートの速さはもちろんのこと、「何としても取りきる!」というジョッキーの明確な意思も必要となります。

で、今回のメンバーを見渡してみたところ、先手を主張し、かつこのメンバーに入ってもそれができそうなのはクロコスミアくらいで、枠にしても極端に外、というわけではないことから、昨年と同様、逃げねばりのシーンが想像できるかとおもいます。

しかし、今年に関しては、枠はまあ良しとして、並びがちょっと微妙で、逃げまであるハッピーユニバンス、プリメラアスールは自身のスピードで負かせるにせよ、この2頭以外の番手付近を狙ってくるであろう馬がクロコスミアの近くの内におり、昨年ほどすんなり位置が取れるとはなかなかみづらいところであります。

なのでレースの序盤は、ハナというより、その後ろのポジション争いが激化して、これによりハナを取りたい馬が相対的に脚を使わさせられる比較的激しい序盤になるとみています。

ポイント② どこから追い出すか

とはいえ、コース形態上、コーナーに入ってから向こう正面の坂までは十中八九ペースは落ち着くことから、隊列さえ決まってしまえば、基本的には前め、かつコーナーをロスなく回してる馬が有利な展開となることでしょう。

しかし、序盤がやや荒れそうな気配があるなか、今年の京都は外差しも比較的開催の早い段階から決まっており、道中溜めて、外からズドン!も全然ありえる馬場になっていて、高速状態では御法度といえる大外一気が決まる可能性があり、序盤のポジション取りで内を通す馬が消耗すれぼするほど、この可能性は高くなるといえるでしょう。

つまり、このコースの定石通りロスないコース選択から馬群を捌いてくるのか、ある程度のコースロスは覚悟で、序盤のポジション争いには参加せず脚を溜めて最後の直線に賭けるのか、どちらのタイプの馬に展開が味方するかを見極めるレースになるということです。

上記2点、今日は展開を重視した予想ポイントから、結論として私の印をご紹介します。

◎ 4枠7番 モズカッチャン

自分でも押し出された感は否めないところもあります。けど、ほど良い枠、並びに入っていることは確かですし、前走の札幌記念にせよ最後方になったとはいえ出遅れてのものではなく、自在性と長く追える脚が武器のこの馬にはやはりこの条件は良い条件だといえます。

状態面で不透明なところはありますが、それは他の有力馬にもあることですので、距離実績がみえているこの馬を軸に据えたいとおもいます。

◯ 6枠12番 リスグラシュー

2200mが適距離か、といえば首を縦には振れないな……、とはおもいます。

それでも、終いの脚だけは本当に堅実で、今回は序盤が激しくなり、勝負どころでも内が渋滞するようなことがあれば、この馬が自分の競馬に徹し、外から豪快に、というシーンがありえるわけで、◎に対してしっかり脚を出しきれればハマってくることもあるでしょう。

▲ 7枠13番 ノームコア

まず紫苑ステークスの内容は秀逸のひとことで、あの競馬ができれば、ここでも十分にアタマでこれる、そこまでの実力はつけてきているとおもい、単穴にはこの馬を推します。

しかし、ルメール騎手を配したとはいえ、ポジションをどこにとるのか、その判断と実際に欲しい位置が取れるのかはいささか懐疑的にならざるを得ず、それこそモズカッチャンらがいるであろう逃げ馬の後ろの集団の後ろのインとかに潜り込めれば良いものの、半端に外外を回らされることもあり、評価としてはここまでかな、といったところとなります。

△ 4枠8番 カンタービレ

秋華賞と同じパフォーマンスが出せれば、ここでも上位に絡むレベルにはあるでしょう。

あとは確かに上手いですが、クリスチャン騎手がこのトリッキーなコースをこなせるか、いくらワールドクラスのジョッキーといえどそれだけ京都コースは難しさを孕んだ舞台なだけに、鞍上の慣れを加味して△の一番手までとしました。

△ 3枠5番 レッドジェノヴァ

夏の北海道での活躍できら星のごとく現れた新星。京都大賞典ではサトノダイヤモンドには破れるもシュヴァルグランをはじめ古馬の男馬の骨っぽいところを完封してきました。

牝馬らしくないスタミナに特化したタイプといえる馬なので、何かのキレ味に屈することはあり得ますが、良い枠に入ったことですし、前めから積極的にレースをつくっていけば、おもしろい存在になるでしょう。

☆ 6枠11番 スマートレイアー

理想をいえばもう少し内が欲しいですし、さすがに8歳の秋なわけですから、力的には不十分といえます。

ただ一瞬の脚だけならまだ健在で、この脚の使いどころ次第では高配当の使者となり得る可能性はあるでしょう。

そして、その少ないであろう可能性を引き出せるならの鞍上を確保できたここは、この馬を狙うラストチャンスとみています。

以上、今日は更新が当日になってしまいましたが、エリザベス女王杯の展望をお届けしてまいりました。

確たる存在がいない非常に難解な一戦となりますが、暮れの決戦に向けた弾みをつけていきたいところです。

<重賞展望_JBC(2018)>JBC競走、初の中央開催における予想の注意点

明日は中央と地方の交流の象徴、ダート競馬の祭典であるJBC競走が、史上初めて中央、京都競馬場にて行われます。

そこで今週の展望は、その京都開催のJBC を予想するうえでの注意点と題し、中央開催だからこそのポイントにおさえ、3レースそれぞれ、軸と穴、双方のおすすめを紹介します。

ポイント① 馬場

今日はいつもみたいに天気がどうとかいうことではなく、中央と地方の馬場の違いについて。

よく地方の砂は「深くて重い」といわれますが、それは本当にそうで、中央のダートに比べ、地方のダートは時計が掛かりやすい馬場となっています。

そのため、普段はこの重い馬場で走っている地方馬は軽くて脚抜きの良い中央の馬場に、というより普段より速い馬場に対応せねばならないため、実力差はもとより例年以上に上位進出の可能性は低いといえます。

ポイント② メンバー構成

JBC競走には、開催地に選ばれた地区は他の地区より多く所属する馬を出走させることができるというルールがあります。

そして、それが今年の場合は中央所属馬に与えられています。

つまり例年に比べ中央馬の出走が多くなり、いつものメンバー、いわゆる"いつメン"でばかりレースをしているところに、普段地方交流にはなかなか出走できない中央のオープンクラスで凌ぎを削っている馬たちが今年は数多く駒を進めてくることになります。

これにより、以前にも書いたことですが、日本競馬界におけるダート路線の「あべこべ構造」が顕著にでることとなり、言い方は悪いですが地方馬が多く出走していて"ぬるい"レースばかりしている格上の馬(ケイティブレイブアポロケンタッキーはこれの典型)が中央所属のタフな面々に執拗に絡まれ実力を発揮できないパターンは往々にしてあり得る展開とみれるでしょう。

※ダート路線の「あべこべ構造」についてはこちらをご覧下さい。
http://hanakota.hatenadiary.jp/entry/2018/01/20/210538

おすすめ

では、ふたつのポイントを踏まえ、軸と穴、それぞれのおすすめをレースごとに紹介します。

※以下、発走順に紹介します。

JBCスプリント

軸 7枠13番 レッツゴードンキ

さすがに年齢的な衰えがあるのか、ここ2走は芝のスピードにイマイチ対応しきれていない印象はあるものの、元々パワータイプでスピードがトップレベルに求められないダートであれば、追走もそこまで苦労しないとおもわれます。

しかも砂を被ることがまず考えられない枠というのもダートでの経験が少ないこの馬にはプラスと捉えることができるでしょう。

キャリアの終盤となる6歳秋にもうひと花、咲かせれくるのではと期待します。

穴 2枠3番 キングズガード

今回はさすがダートスプリント路線の頂点を決めるレースだけあり、スピードに溢れた馬が多く、おそらくかなり速い展開となることでしょう。

そこで狙いたいのが、このキングズガードのような追い込み馬となります。

脚質と枠が合っていない感じもしますが、最後の脚は確実なだけに、ゴール前ギリギリで食い込んでくるシーンは想定しておきたいです。

JBCクラシック

軸 7枠14番 オメガパフューム

展開的にペースが落ち着きそうなイメージがあるので、差しが効くのかはわからない部分があります。

しかし、その落ち着くまでの主導権争いが実は結構激しくなりそうな感じもあり、先行勢にはそれなりにキツい展開を予想しています。

マークは当然厳しくなることが予想されますが、今回は外枠が引けたこともあり自分のペースでいける算段が高く、あとは能力だけがどうか?ですが、それも信頼に値して良いものを持っているとみています。

穴 1枠1番 センチュリオン

中山のイメージが強すぎるので、ここでどうかとは思うものの、総合力には定評があり、あまりマークされない立場を考えればこの枠でこっそり……、があってもということで、妙味でいえばこの馬を推したいとおもいます。

JBCレディスクラシック

軸 8枠16番 アンジュデジー

ここ最近あまり良いところが出ていませんが、今回はかなりテンが激しくなりそうなところ、大外から序盤ゆったり、後半は持ち前のスピードと、その持続力で悠々走れそうなイメージはあります。

如何せん近走が奮っていないのは不安ではありますが、気持ちさえ入ってくれば能力的にも劣ることはなく酔い走りをしてくれることでしょう。

穴 4枠7番 カワキタエンカ

メンバー的に激しい展開になるのは必至なのてすが、この馬は芝でも行ってナンボな馬でテンの速さでいえばダートの馬は歯牙にかけるまでもないでしょう。

あとは芝よりも重い足元と、息を入れるタイミングをつくれるかどうか、このふたつをクリアすれば侮れない存在でしょう。

というわけで今日はレースのことはさらっとになりましたが、前半で触れたポイント、特にふたつ目の「あべこべ構造」については来月のチャンピオンズカップの予想にも役立つ考え方となりますので、是非覚えておいてもらえればとおもいます。