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中央競馬で行われる日曜日の重賞レースの展望を中心に、競馬にまつわるお話をお届けします。

<平成最後の有馬記念特集>第一回 私的平成有馬五番勝負

宣言通り(良いことではありませんが……。)、2週間のお休みをいただき、これまたお約束通り、有馬記念ということで戻って参りました。

今日から始める有馬記念特集では、3回に渡りさまざまな角度から週末の有馬記念を楽しめるよう、レースの展望はもちろんのこと、平成最後の開催となる競馬の祭典を盛り上げるべく、微力ながら皆さんの予想の参考に、また有馬記念ウィーク独特のワクワク感を少しでも味わっていただけるよう、渾身の3本をお届けできればと思います。

そんなわけで今日の有馬記念特集第一回は、平成30年間における「私的有馬五番勝負」をお届けして参ります。

以下、ランキング方式でご紹介していきますが、私の年齢がいま32歳、競馬を本格的にやるようになったのが2013年ごろ、知っているレベルで2005年ごろとなりますので、そのあたりは何となくお察しいただけますと幸いです。

第5位 平成26年(2017年) 牝馬の時代のひと
区切り

勝ち馬:ジェンティルドンナ

ちょっとお恥ずかしい話なのですが、初めて有馬記念を生で観戦したのが、この第59回 平成26年有馬記念でした。

そのため、「有馬記念を初めて生で観た」という思い出が最も強く鮮明なのですが、実はこのレース、GⅠ5勝のゴールドシップのほか、世界レーティングNo.1のジャスタウェイキズナ世代の最強馬で前走ジャパンカップを圧勝したエピファネイアなど、出走馬16頭中10頭がGⅠ馬、なんとその通算のGⅠ勝利数は25を数える史上最強ともいって過言ではない豪華メンバーの競演となったレースでした。

そんな並みいる強豪を向こうにまわし、7個目のGⅠタイトルをもぎ取ったジェンティルドンナ

いまにして思えば、ウォッカのダービー制覇にはじまり、そのウォッカと熾烈な戦いを演じたダイワスカーレット、その後ブエナビスタと続いた「牝馬の時代」にひと区切りをつける、そんなジェンティルドンナの有終の美だったといえるでしょう。

第4位 平成12年(2000年) 古きよき時代の古きよきサクセスストーリー

勝ち馬:テイエムオペラオー

当時私は中学2年生。特に競馬をやる家族もいなかったこともあり、そのときのことは「競馬の世界にテイエムオペラオーというトンでもない強い馬がいる」これくらいの印象しか持っていませんでした。

しかし、競馬にのめり込むようになり、いろいろと調べたりして知ったのは、いまの競馬では考えられないような人馬の絆、騎手とその師匠である調教師、オーナーの寛大な理解……、さまざまに折り重なる人と馬、そして人と人との想いのつながりががんじがらめの包囲網をこじ開けたあの瞬間は、"もし中2の私が競馬バカなら"きっと大興奮したであろう、いまの競馬の世界では考えられない古きよき時代の競馬のお話です。

第3位 平成18年(2006年) 鳥肌ものの4コーナー

勝ち馬:ディープインパクト

私が競馬バカになったルーツ。これがどこにあるか?といったとき、ディープインパクトの存在なしには語ることはできません。

というのも、当時はまだ特別競馬が好きなわけでもなかったにも関わらず、私たちに鮮烈な印象を与えた若駒ステークス以降、ほぼすべてのレースを当時でさえ覚えていたわけで、競馬バカとなったいまもなお、本当に強い馬というは、ディープ並みのインパクトがなければ、それは強いとはいいづらい、そんな勝手な固定概念すら抱かせるものになっています。

そして、ディープのラストランとなったこの年の有馬記念。いつもの後方待機から悠然と駆けあがる4コーナーのあの一瞬は、競馬ファンならず日本中に夢を与えたディープインパクト最後の衝撃として、それまでのすべてのレースが走馬灯のように甦る、そんな至福のひとときでありました。


第2位 平成25年(2013年) ここは花道かランウェイか!?ラスト310mのオルフェーヴル劇場

勝ち馬:オルフェーヴル

第2位は私のなかの最強馬、オルフェーヴルの引退レースとなった平成25年を取り上げます。

まあ、なんといってもこのレースは、暴力的ともいえるオルフェーヴルの強さ(ときにその狂暴な強さが空回りすることもありましたが……。)が際立ったレースであり、4コーナー出口ですでに勝負あり!

そこからゴールまでの310mの直線は、歌舞伎でいうなら花道、ファッションショーならランウェイかと見紛う、世界の頂に最も近づいた日本馬にふさわしいラストランでした。

第1位 平成19年(2005年) 若きルメール騎手、乾坤一擲の一鞍!日本近代競馬の結晶を競り落とした瞬間

勝ち馬:ハーツクライ

平成有馬五番勝負、映えある私的No.1は、平成19年(2005年)の有馬記念です。

すでにシンボリルドルフ以来、史上2頭目の無敗の三冠馬として競馬ファンならずともその一挙手一投足に注目が集まっていたディープインパクト

誰もが「ディープが勝つもの」と思い向かえた最後の直線……、いつもの通りの後方から"飛んで"きたディープが捕らえられない1頭が……!

それこそ、まだ短期免許での来日で当時20代のルメール騎手騎乗のハーツクライでした。

このとき、おそらく人生で初めて有馬記念を観るためにテレビを点けた私からすれば、「ディープも負けるだ……」としか思えなかったものの、その後競馬バカとなり、それまでのハーツクライが追い込み一辺倒の競馬しかできなかったこと、前走ジャパンカップであの「アルカセットの2分22秒1」と同タイムで差しきれなかったことを知り、この勝利が偶然の産物でも、ディープが"飛ばなかった"わけでもなく、人馬が呼吸を合わせ、いままで誰もやったことのない先行策という大博打を成功に導いた、まさに乾坤一擲の一鞍であったことは、これぞ競馬バカが選ぶ平成史上最高の有馬記念だと思うゆえんであります。

以上が私が選ぶ平成有馬五番勝負となるわけですが、私より歴の長い競馬バカなら、オグリキャップのラストランや、トウカイテイオー奇跡の復活、スペシャルウィークVSグラスワンダー 至高の叩きあい、穴党の方ならダイユウサクマツリダゴッホ、ほかにもシンボリクリスエスの圧勝劇やダイワスカーレットの鮮やかな逃走劇など、皆さん人それぞれに「平成最高の有馬記念」があることでしょう。

そして、平成最後となる今週末の有馬記念

奇しくも天皇誕生日の開催となれば、何か競馬界の歴史に新たな伝説となる1ページが刻まれるやもしれません。

次回、平成最後の有馬記念特集 第2回は、何かあるならおそらくこれしかないでしょう!

『稀代の障害王 オジュウチョウサン、前代未聞の挑戦の勝機はいかに!?』と題し、私なりのオジュウチョウサンへの見立てを、買える・買えないの視点から論じてみたいと思います。