【重賞展望_天皇賞・春(2018)】どこまでが残り、どこまでが届くか
今週は春の天皇賞をテーマに特別企画、ポイントチェック、そして今回の展望と3回にわたりお届けしてまいりましたが、今日はその最終回。
一昨日発表された枠順から展開を占い、私の推奨馬を紹介したいとおもいます。
では、早速はじめましょう。
◆静かな立ちあがりが濃厚
発表された枠順を見たところ、脚質とのギャップが大きい馬は8枠の3頭くらいで、あとは前の馬は内、後ろの馬は外と、全体的には比較的タイプとマッチした並びになったとおもいます。
なので、5番のヤマカツライデンがすんなりハナに立ち、番手にカレンミロティックとガンコ、この2頭を見る形でクリンチャー、その後ろは枠なりに収まりつつ、じわっと外からトウシンモンステラやトミケンスラーヴァが行ける範囲で前にとりつき、すんなり隊列は決まることでしょう。
そのため、昨年こそ外枠発走の勢いで飛ばしていったものの、今年は競りかける相手もいないことから、ヤマカツライデンがマイペースに落とすスローな展開が予想されます。
しかし、ヤマカツライデン自身、いくらメンバーが手薄といえども力的にはここでも明らかに格下であることから、捨て身の大逃げというパターンも頭に入れておくべきでしょう。
◆ガンコvsクリンチャー、2頭の仕掛けあいが勝負のカギか…
つづいて勝負どころとなる2周目の3コーナー付近へと話を移します。
ここで注目したいのがガンコとクリンチャー。
どちらが主導権を持って最後の直線をむかえるかで、馬券の対象となる馬の顔ぶれが変わってくるものとおもわれます。
これがどういうことかというと、両者とも先行してからの持続力で勝負するタイプであることは共通しているものの、スピード色が強いガンコと、よりスタミナに特化しているのがクリンチャーというわけで、細かくみれば活かしたい武器は異なっています。
つまり、ガンコが主導権を持つ場合は、持続力に加えて一瞬の加速力を活かしたく、ギリギリまで溜める形になりガンコの近くにいる馬での決着に。
対してクリンチャー主導の流れとなれば、早めから積極的に仕掛け、1頭、また1頭と近くにいる馬を削ぎおとすスタミナ戦にもつれこむため、結果として後方の馬にもチャンスがまわってくることとなり、どこまで後ろまでが勝負圏内に食い込むことができるか、そこの読みも大事になってきます。
では、どちらの展開が転ぶかの私なりの結論も踏まえ、以下、印でございます。
◎ 4枠8番 クリンチャー
特長についてはもう触れましたので、ここではガンコとの比較に触れたいとおもいます。
決め手となったのは枠順で、この馬自身がガンコを内に見ることができる位置にあり、他の先行馬も上手く使いながら、ガンコにフタをするように先手先手で仕掛けていけそうな並びになっているから。
鞍上が急遽のテン乗りとなることはウィークポイントになりますが、この乗りかわりは失うものがない"代打騎乗"的なものであり、大事にいき過ぎてこの馬には最もむかない瞬発力勝負に持ち込まれてしまう可能性は高くないとみています。
また、レコード決着の皐月賞でもきわどい4着にきているように、スピードへの対応力も一定あることから、対応力とレース経験でもガンコより上と判断し、今回はこの馬を本命に推したいとおもいます。
○ 5枠10番 サトノクロニクル
欲をいえばもう少し内が欲しいところでしたが、この馬のスムーズな加速性能はこの舞台にうってつけといえます。
こちらも瞬間的な脚と破壊力には欠けるものの、追ってからの長さは非凡で、ポジショニングが上手い人馬の組合せも魅力的であります。
ただし◎との比較では、斤量を含めた舞台経験と、枠順がやや外よりに入ってしまったのはマイナスで、この2つの点を理由に対抗までとしました。
☆ 1枠1番 ミッキーロケット
ポイントチェックでも触れましたが、本来であれば、ここでチェッスナットコートを紹介するつもりでした。
しかしながら、今日蛯名騎手が同じようなタイプの馬で青葉賞を勝ったからか、チェッスナットコートがかなり人気してしまっているため、ここではもう1頭の穴馬候補だったミッキーロケットを推したいとおもいます。
この舞台ではお世辞にも好相性とはいえませんが、終いの決め手はそこそこあるだけに、上手く溜めて脚を使えれば、ということで買い目には入れておく予定です。
あとはクリンチャーの早めの仕掛けにより、後ろの馬も絡む可能性があるということで、機動力を基準にシュヴァルグラン、アルバート(資金的に余力があればレインボーライン)の順で抑え。
それから、スタミナだってかなりありそうなガンコはタイプ的には買わないといけない馬。
加えて、人気してしまっただけで、評価に変わりはないチェッスナットコート。
このあたりまでで、基本的にはクリンチャーからの馬券と、念のため、3コーナーでの読みが逆になったとき用にガンコからの馬券も少しだけ持っておこうかなといったところです。
今年はどうしたって昨年の豪華メンバー、大レコード決着の反動もあり、やや寂しい感じがするのは仕方ないことですが、昨日旅立ったスペシャルウィークも逞しい後輩が出てきてくれることを草葉の陰から見守っているであろう伝統の淀の2マイル。
数々の名馬の足跡をたどる新しいスターホースの誕生を期待して、明日のレースを楽しみに待ちたいとおもいます。
それでは、今日は最後にGWの更新予定のお知らせです。
来週は水曜日のかしわ記念と週末のNHKマイルカップをテーマに以下の予定で週3回の更新をおこないます。
5/1 かしわ記念展望
5/3 NHKマイルポイントチェック
5/5 NHKマイル展望
連休中もなかなか忙しいスケジュールとなりそうですが、それだけ楽しみが多いということで、まずは明日の天皇賞!きっちり当てて連休中の馬券資金をゲットしましょう!
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20180426_天皇賞・春②
【重賞ポイントチェック_天皇賞・春(2018)】適性を見極めよう!出走全馬一言寸評
一昨日の特別企画につづき、今回も天皇賞・春をテーマに今日は予想ポイントのチェックをしたいと思います。
前回も触れましたが、今年はかなりメンバーが手薄であるため、普段のメインレースではなかなか出くわすことのない馬も多く出走しています。
なので、どんな馬が出てくるのか、どの馬が適性があるのか、簡単にではありますが、私なりの寸評をご覧いただければでございます。
※先ほど枠順が出ましたが、ここでは馬の能力を重視するため、枠順・並びの良し悪しには触れずにまいります。
※以下、出走全馬あいうえお順
7歳となった今も現役屈指のステイヤーであることに変わりはありませんし、58kgの経験も豊富。
しかし、この舞台で求められる瞬時の加速はかなり苦手であるため、先行馬が多いメンバー構成のなか、相対的に浮上してくることはあっても、この馬自身の能力だけで絶対的な信頼を置くには至りません。
レース、斤量における実績はトップクラスですが、さすがに10歳かつ、同型が多いここでは、そうそう食指は伸びず、基本的には消しで考えてます。
・ガンコ
勢いで言えば間違いなくナンバーワンでしょう。
しかも久々の芝を使った昨年末以来、着実にレースレベルや斤量の壁を突破しており、ポジションを取ってからのスムーズな動きだし、そこからの持続力の高さはいかにもこの舞台向き。
揉まれ強い面もあることから、本命候補の1頭と言えます。
・クリンチャー
イメージとしては、キタサンブラック廉価版というのがこの馬の評価で、足りない部分はスピードとなります。
ただし、スタミナは無尽蔵なだけに、それこそ2着に入った菊花賞のように少しでも渋れば勝機はあると思います。
ですが、見ていると少し乗りづらそうな感じもなくはなく、急遽のテン乗りはどう考えてもマイナスにしかならないでしょう。
・サトノクロニクル
前走はきっちり好位から上手なレースができていて、京都の下りも上手くこなしてくれそうな感じはあります。
ただ斤量には常に恵まれていた立場をかんがえると、本命を打つには少し心もとないとみています。
・シホウ
見たところ一瞬の脚はあるようですが、それがここでは通用するかと言えば、そうでないと見るのが妥当。
素直に見送りでいいでしょう。
実績的にはダントツと言える存在で、この馬のGⅠ制覇を阻んでいた強力なライバルたちの参戦もなく、チャンス到来の一戦という位置付けにあるかと思います。
しかし、過去2年の鞍上は京都を熟知した福永騎手の手腕によるところも大きく、本来的にはズブさがあるタイプであるだけに自身の適性だけでいえば、そこまで信頼のおける馬ではないというのが私の見立てであります。
また、いくらレーティング世界一のボウマン騎手といえど、この時期の特殊な京都を一昨年の1回だけの騎乗でものにしているとは思えず、勝負どころを見誤ることも十分にあり得ると考えていいでしょう。
個人的に頑張りが報われてほしいとは思うものの、さすがにしんどいと言わざるを得ないでしょう。
一発あるなら、昨年の京都大賞典の形しかないですが、今回はそこに至るまで直線をいい位置で迎えることも懐疑的であり、見送るのが賢明でしょう。
・ソールインパクト
タイプ的にはなくもない1頭ですが、別定条件以上では、てんでからきしなところを見ても、よほど恵まれなければ…で、穴候補に1頭とはしつつも、どちらかといえば見送る方向が強い馬です。
・チェスナットコート
展開、斤量に恵まれたところはありますが、前走のパフォーマンスは蛯名騎手の手綱捌きともども結構評価しており、ここも展開の助けは必要ながら上位進出も考えられなくはありません。
今のところ穴の一番手という評価です。
・トウシンモンステラ
いくらメンバーレベルが低いとはいえ、このまま馬に順番が回るとは到底…、素直に消し。
・トミケンスラーヴァ
万葉ステークスでのパフォーマンスは一定の評価はしていますが、そのときよりもはるかにタイトな競馬になるのは明らかなため、この馬も見送りでいいでしょう。
・トーセンバジル
前走日経賞は1~2コーナーでマクったキセキに中途半端に付きあってしまったことによる5着。
鞍上のミスも踏まえれば、そこまで悲観することはないとみています。
何気にGⅠの出走数は多く、流れに乗ることができるようになったこともプラスに捉えていいでしょうし、海外帰りをひと叩きされたここは狙ってみてもおもしろい存在です。
・ピンポン
馬場を考えても、このレベルの追い込み馬が通用するとは思えず、ここは消しでいいでしょう。
・ミッキーロケット
古馬になって大分足踏みがつづいていますが、脚のはやさはそこそこありますし、うまくハマれば好走するイメージもわかないことはありません。
ハイレベルの菊花賞を5着という実績もあることから、穴として抑えておくのもいいでしょう。
・ヤマカツライデン
さすがに逃げの一辺倒だけで何とかなるとは考えづらく、並び次第ではありますが基本的には消しの方向です。
道悪でスタミナだけが問われるなら、現役でも屈指の能力があると言えます。
しかし、追走力と脚の速さではこのメンバーでも見劣るため、買うにしても抑えまでが妥当でしょう。
ということで出走予定17頭の適性をみてきましたが、この舞台で求められるポジショニングと機動力、それから一定の瞬発力を最も高いレベルで持っているのはガンコ、次いでサトノクロニクルといったところですが、両者とも"上がり馬"的な要素が強く、斤量の経験ではやや心もとないと言えます。
対して、実績で上位のカレンミロティックやシュヴァルグランにしても、割りと明確なウィークポイントがあり、全幅の信頼を置くには心もとない存在。
そうなると、消去法的な感じもありますが、立ち回りに進境があり、スタミナも豊富で58kgの経験もあるトーセンバジルがあぶり出されるわけですが、これまたなんと大外枠…!もうどこから入っていけばよいのやら…。
以降は明後日お届けする展望で並びからの展開をじっくり考察し、最終的な結論を導きだそうと思います。
それでは、また土曜日の夜にお会いしましょう。
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20180426_天皇賞・春②
【重賞ポイントチェック_天皇賞・春(2018)】適性を見極めよう!出走全馬一言寸評
一昨日の特別企画につづき、今回も天皇賞・春をテーマに今日は予想ポイントのチェックをしたいと思います。
前回も触れましたが、今年はかなりメンバーが手薄であるため、普段のメインレースではなかなか出くわすことのない馬も多く出走しています。
なので、どんな馬が出てくるのか、どの馬が適性があるのか、簡単にではありますが、私なりの寸評をご覧いただければでございます。
※先ほど枠順が出ましたが、ここでは馬の能力を重視するため、枠順・並びの良し悪しには触れずにまいります。
※以下、出走全馬あいうえお順
7歳となった今も現役屈指のステイヤーであることに変わりはありませんし、58kgの経験も豊富。
しかし、この舞台で求められる瞬時の加速はかなり苦手であるため、先行馬が多いメンバー構成のなか、相対的に浮上してくることはあっても、この馬自身の能力だけで絶対的な信頼を置くには至りません。
レース、斤量における実績はトップクラスですが、さすがに10歳かつ、同型が多いここでは、そうそう食指は伸びず、基本的には消しで考えてます。
・ガンコ
勢いで言えば間違いなくナンバーワンでしょう。
しかも久々の芝を使った昨年末以来、着実にレースレベルや斤量の壁を突破しており、ポジションを取ってからのスムーズな動きだし、そこからの持続力の高さはいかにもこの舞台向き。
揉まれ強い面もあることから、本命候補の1頭と言えます。
・クリンチャー
イメージとしては、キタサンブラック廉価版というのがこの馬の評価で、足りない部分はスピードとなります。
ただし、スタミナは無尽蔵なだけに、それこそ2着に入った菊花賞のように少しでも渋れば勝機はあると思います。
ですが、見ていると少し乗りづらそうな感じもなくはなく、急遽のテン乗りはどう考えてもマイナスにしかならないでしょう。
・サトノクロニクル
前走はきっちり好位から上手なレースができていて、京都の下りも上手くこなしてくれそうな感じはあります。
ただ斤量には常に恵まれていた立場をかんがえると、本命を打つには少し心もとないとみています。
・シホウ
見たところ一瞬の脚はあるようですが、それがここでは通用するかと言えば、そうでないと見るのが妥当。
素直に見送りでいいでしょう。
実績的にはダントツと言える存在で、この馬のGⅠ制覇を阻んでいた強力なライバルたちの参戦もなく、チャンス到来の一戦という位置付けにあるかと思います。
しかし、過去2年の鞍上は京都を熟知した福永騎手の手腕によるところも大きく、本来的にはズブさがあるタイプであるだけに自身の適性だけでいえば、そこまで信頼のおける馬ではないというのが私の見立てであります。
また、いくらレーティング世界一のボウマン騎手といえど、この時期の特殊な京都を一昨年の1回だけの騎乗でものにしているとは思えず、勝負どころを見誤ることも十分にあり得ると考えていいでしょう。
個人的に頑張りが報われてほしいとは思うものの、さすがにしんどいと言わざるを得ないでしょう。
一発あるなら、昨年の京都大賞典の形しかないですが、今回はそこに至るまで直線をいい位置で迎えることも懐疑的であり、見送るのが賢明でしょう。
・ソールインパクト
タイプ的にはなくもない1頭ですが、別定条件以上では、てんでからきしなところを見ても、よほど恵まれなければ…で、穴候補に1頭とはしつつも、どちらかといえば見送る方向が強い馬です。
・チェスナットコート
展開、斤量に恵まれたところはありますが、前走のパフォーマンスは蛯名騎手の手綱捌きともども結構評価しており、ここも展開の助けは必要ながら上位進出も考えられなくはありません。
今のところ穴の一番手という評価です。
・トウシンモンステラ
いくらメンバーレベルが低いとはいえ、このまま馬に順番が回るとは到底…、素直に消し。
・トミケンスラーヴァ
万葉ステークスでのパフォーマンスは一定の評価はしていますが、そのときよりもはるかにタイトな競馬になるのは明らかなため、この馬も見送りでいいでしょう。
・トーセンバジル
前走日経賞は1~2コーナーでマクったキセキに中途半端に付きあってしまったことによる5着。
鞍上のミスも踏まえれば、そこまで悲観することはないとみています。
何気にGⅠの出走数は多く、流れに乗ることができるようになったこともプラスに捉えていいでしょうし、海外帰りをひと叩きされたここは狙ってみてもおもしろい存在です。
・ピンポン
馬場を考えても、このレベルの追い込み馬が通用するとは思えず、ここは消しでいいでしょう。
・ミッキーロケット
古馬になって大分足踏みがつづいていますが、脚のはやさはそこそこありますし、うまくハマれば好走するイメージもわかないことはありません。
ハイレベルの菊花賞を5着という実績もあることから、穴として抑えておくのもいいでしょう。
・ヤマカツライデン
さすがに逃げの一辺倒だけで何とかなるとは考えづらく、並び次第ではありますが基本的には消しの方向です。
道悪でスタミナだけが問われるなら、現役でも屈指の能力があると言えます。
しかし、追走力と脚の速さではこのメンバーでも見劣るため、買うにしても抑えまでが妥当でしょう。
ということで出走予定17頭の適性をみてきましたが、この舞台で求められるポジショニングと機動力、それから一定の瞬発力を最も高いレベルで持っているのはガンコ、次いでサトノクロニクルといったところですが、両者とも"上がり馬"的な要素が強く、斤量の経験ではやや心もとないと言えます。
対して、実績で上位のカレンミロティックやシュヴァルグランにしても、割りと明確なウィークポイントがあり、全幅の信頼を置くには心もとない存在。
そうなると、消去法的な感じもありますが、立ち回りに進境があり、スタミナも豊富で58kgの経験もあるトーセンバジルがあぶり出されるわけですが、これまたなんと大外枠…!もうどこから入っていけばよいのやら…。
以降は明後日お届けする展望で並びからの展開をじっくり考察し、最終的な結論を導きだそうと思います。
それでは、また土曜日の夜にお会いしましょう。
【特別企画_天皇賞・春(2018)】なんで?どうして?こうなった?
ちょっとした小休止モードだった先週の中央競馬ですが、今週からはガラリ一変!安田記念が行われる6月の1週目まで怒涛の6週連続GⅠが行われます。
今日はその連続GⅠの幕開けを告げる伝統の古馬頂上決戦、天皇賞・春をテーマに特別企画をお届けします。
今年は大レコードでの決着となった昨年に比べると格段に落ちるメンバー構成ではありますが、ある意味これが現代型の天皇賞ともいえ、2018年現在の春の天皇賞とはどんなレースなのか、まずはそこからはじめていきたいと思います。
◆天皇賞がこうなった原因
「こうなった」とはつまり、メンバーが揃わなくなったということですが、どうして「こうなった」のか、はじめにその理由をあげていきましょう。
・盛んな海外進出による長距離路線の空洞化
天皇賞にメンバーが揃わなくなったのには、まずこのことがあげられるかと思います。
一昨年の凱旋門賞よりスタートした海外馬券の発売からもわかる通り、日本馬が出走する発売対象レースはどれも2000~2400mのレースばかり。
つまり、一昔前であれば距離を伸ばして春の天皇賞を目指していたトップホースたちが、日本競馬全体のレベルの底上げとともに、矛先を海外に向ける傾向が強まっていることが一つ目の理由となります。
・開催時期がもたらす馬へ負担増
もう一つの理由は、天皇賞・春が行われる開催時期。
春の京都開催2週目というのは、1年のなかで最も芝の生育がよく、天気がよければまず間違いなく超がつく高速馬場での開催となることから、長い距離を走るスタミナはもとより、高いスピード適性も同時に求められる舞台となります。
つまり長い距離を速く、しかも58kgで走らなければならないため、馬への負担は普通に3200m走るよりも当然大きく、その後の出走計画にも影響をおよぼす可能性が高いレースとなっていることから、先のある実力馬になればなるほど敬遠したがるレースとなってしまっています。
◆「こうなった」ことによる好走傾向
次に天皇賞・春が「こうなった」ことによる好走傾向に触れてみたいと触れてまいります。
これには先ほど「こうなった」理由にもあった開催時期による馬場の特色が色濃く出ており、高速馬場で前が止まらないことから、ロスなく立ち回ることができる内枠が絶対的に有利で、3コーナーまでの距離が短いスタート地点の設定もこの傾向に拍車を掛けています。
2年連続で高配当を演出したカレンミロティックしかり、例え近走の成績がイマイチでも、枠順だけで簡単に人気を覆してしまうほど、この傾向は顕著に現れており、昨年大外枠から3着にきたサトノダイヤモンドレベルの馬でない限りこの枠順の有利不利を覆すことは難しいと言えるでしょう。
また、このレースは58kg(牝馬は56kg)を背負うことから、なかなか背負うことのないこの斤量に慣れている馬というのも多く馬券に絡んでおり、それは人気のない馬であっても例外ではありません。
以上、今回は天皇賞・春がどうしてこんな長距離GⅡみたいなメンバーでのレースとなってしまったのか、またこうなったからこその好走傾向を紹介しました。
次回木曜日にお届けするポイントチェックでは、今日紹介した好走傾向にあてはまる馬を探しだすべく、出走全馬、私なりの寸評を披露したいと思います。
それでは、また明後日の夜にお会いしましょう。
【重賞展望_フローラS(2018)】脚の使いどころと、横のポジショニング
先週の皐月賞、私としてはもうお手上げの決着でした。
先行馬が多く、差し向きになるという大方の予想のもと、それでも有力馬同士が牽制しあう展開も考え穴馬にはジェネラーレウーノを推していたわけですが、前の馬は馬券に絡んだとしても2頭まで。
馬券の対象となる3着までがすべて前の馬になるのはちょっと考えられず、配当的には昨年より小さかったものの、個人的には昨年よりも当てられない感は強い皐月賞でありました。
さて、今週は高松宮記念から4週つづいたGⅠも一旦お休みとなりますが、次のGⅠへ向けた重要な前哨戦が東西で行われます。
そのうち当ブログでは明日の東京メイン、オークストライアルのフローラステークスを取りあげてみたいと思います。
昨年、一昨年とオークスの連対馬を輩出しているように、例え桜花賞組の壁があつくとも近年ではコンスタントにオークスでの好走馬を出すこのレース。
今年も大物感漂うサトノワルキューレをはじめ楽しみながらも難解なメンバーが集まりました。
まずは予想ポイントの整理から進めていきましょう。
◆競走条件をおさらい
基本的なことですが、今日は何よりもここを予想の出発点とするところからはじめます。
舞台となる東京2000mは、そのコース形態と東京競馬場ならではの直線の長さという点から、ほかの競馬場の2000mとは一線を画す特殊なコースであること、また内外の有利不利が非常にはっきりしているということは皆さんもご存じのことと思います。
加えて、このレースにおいてはあと2つ抑えておきたいポイントがあり、一つは芝の生育が良い春の開幕週開催のレースであること、もう一つはコース設定がこの時期の3歳牝馬にとってはタフな条件で、そのタフさが最も求められる長い直線に備え十中八九スローな展開になるということです。
なので、如何に直線が長い東京競馬場といえど、開幕週の止まらない馬場と、多くの馬が脚を残して直線をむかえる展開となりやすいことから、直線だけの競馬で勝ってきたような大味の馬は、能力はあっても全幅の信頼をおくには少し危険だということを頭に入れておくべきでしょう。
◆どの位置で直線をむかえるか、どのくらい機敏に反応できるか
では実際にここからはレースの展開を占っていきます。
メンバーを見ると、見事に逃げ馬がおらず、並び的にもまずペースはスローとみて問題ないでしょう。
また、今日の馬場を見ていても4コーナー外をまわしてきた馬は勝ちきるところまでは届いていなかったため、馬群のなかでも器用に立ち回ることができ、瞬時に抜け出す瞬発力に優れた馬から馬券を組み立てたいところです。
というわけで、今回の印はこちら!
◎ 1枠1番 サラキア
キャリア2戦目ながら、前走チューリップ賞は桜花賞上位組につぐ4着。
瞬発力の質はかなり高いため、スローな流れとなりほどほどの位置を取りきれれば枠も絶好と言えます。
何よりキャリアの浅さがどうでるかですが、経験のなさを補うだけのセンスありとみて、本命とします。
○1枠2番 オスカールビー
このレースと相性がいい君子蘭賞からの参戦。
ですが、そこでは5着に負けているように、力そのものはそこまで高くないと思われます。
しかし、今の馬場状態を考慮すれば残り目が完全にないとはいえず、スローペースと止まらない開幕週の馬場を活かすことができれば、この中に入っても好走する可能性はなくはないと判断しました。
☆ 3枠5番 ノーブルカリナン
フラワーカップでは序盤でつまずき思った競馬ができませんでしたが、前々走エルフィンステークスの内容はそこそこ評価でき、桜花賞でも善戦したレッドサクヤとの差はそこまでないとみています。
ただし前走でのことがありますので、後方に下がってしまうようなら、ノーチャンスとなるでしょう。
この他については、実力は既に証明されているサトノワルキューレ、オハナ、レッドベルローズに加え、少しでもいいポジションが取れればという視点からデュッセルドルフを抑えた7頭で馬券を検討したいと思います。
以上、今日はタイトルにもある通り、開幕週の特殊な馬場ということをまずは念頭に入れ、馬そのものの力よりも、よりロスなく運べて追い出しがしやいすいであろう馬を優先した予想としました。
この見方は、場所こそ違うものの、京都でも同じような馬場傾向にあることから、来週の天皇賞あたりまでは、予想の前にしっかりと頭に入れておくといいでしょう。
それでは、来週からは再びGⅠが再開!
GW前半のメインイベント、天皇賞・春を特別企画も含めた週3本立てで取りあげる予定ですので、どうぞ楽しみにしていただければと思います。
【重賞展望_皐月賞(2018)】連載企画~福永祐一ダービーへの道~第2回 試練の枠、それでも己を貫けるか
ダノンプレミアムの回避により、一転混戦ムードとなった今年の皐月賞。
そして、そんなムードに拍車を掛けるように、先ほどから降りだした雨音を聞きながら、今日は第2回連載企画『福永祐一ダービーへの道』をお届けしてまいります。
◆拝啓、福永祐一 様
木曜日に発表された枠順、ワグネリアンが入った枠は1枠2番でしたね。
はっきり言って、「あちゃ~」という枠なのではないでしょうか。
初めてとなる多頭数、近くの外側には徹底先行型の馬がかたまっているなか、さらに"天敵"武豊騎手が外側のとなり…。
道悪も考えれば、ここからでもある程度の位置は取りたいと思うのが普通だと思います。
それでも、この後のダービーまでを見越せば、そんなお利口な競馬はしないでほしいと一ファンとしては思うところであります。
前走でも時計の掛かる馬場、不向きな展開ながらもきちんと2着は確保できていたわけですから、今さら下手な策は講じず、ワグネリアンのワグネリアンにしかできない競馬を貫いてほしいと切に願っています。
仮に直線を後方で迎えたとしても、仮に差しきれなかったとしても、必ずや持っている末脚を発揮すればダービーへと繋がるはずです。
どうか、この皐月賞に関してはワグネリアンを信じ、着順はともかく、存分に力を引き出してくれることを信じております。
◆道悪だからみんな前に行きたい!でもだからこそ…
自分でもなぜお手紙にしたのかわかりません(笑)が、ここからはいつもの通りレースの展開を占っていきます。
まず今年のメンバーは"ゼッタイ逃げたい"馬が2頭、"先行するのは確実"な馬が3頭、計5頭の馬が強く前を主張しそうなことから、それなりに激しい序盤になると見込まれます。
また、道悪も考慮するなら、普段はじっくり構える馬も、テンのポジションを確保しにくることも想定されるため、最終的には外差し決着もなきにしもあらずといったところかと思います。
それでも、先ほど触れたワグネリアンもそうですが、終いの持続力には定評あるタイムフライヤーは最内、これまた末脚の威力はピカイチのステルヴィオは距離とスタミナのいる馬場状況で8枠15番と、有力な差し馬が枠順に恵まれておらず、やはりそこそこのポジションで器用に立ち回ることができ、かつ決め手もそれなりにある馬を推していくとが賢明なのではと考えています。
では、こんな観点から私の印はこちらとなります。
◎ 5枠9番 オウケンムーン
ポイントチェックでも本命候補としていましたが、やはりこの馬の前を捉える一生懸命な走りは、今回予想される混戦でこそ発揮されそうで、先行する馬をその近くで見ることができ、ある程度自由に立ち回れそうな並びになっていることもこの馬向きだと思います。
ただ懸念点があるとすればスタートで、先行馬に挟まれた並びとなっているため、そこで後手を踏んでしまうと少し苦しいかもしれません。
ですが、この馬自身もスタートは決して悪くないため、ここを凌げば前述の通り、最も有利な位置で競馬ができるとみて、この馬を本命としました。
○ 2枠3番 ジャンダルム
オウケンムーン同様、まずは枠順・並びが良く、決め手でまさるタイムフライヤーとワグネリアンを抑え込める位置関係にいることは何よりだと言えます。
ただ◎との比較では、道中、内で身動きが取れないことも考えられるため、そうなると決め手の甘さが露呈し、後方から差し込まれることも想定して、今回は対抗評価としています。
☆ 5枠10番 ジェネラーレウーノ
先ほど触れた5頭の先行馬のうちの1頭。
逃げ宣言のアイトーン、ケイティクレバー、この2頭とエポカドーロが激しい先手争いをして後続を離すような展開になれば、実は最もいいポジションで競馬ができる可能性があるのがこのジェネラーレウーノ。
縦長の隊列と道悪の効果で後方の馬が差し遅れるような形になれば、しれっと残ることも視野に入らないでもありません。
この他、紹介した3頭以外に触れておくと、末脚の持続力勝負になると無視できないワグネリアン、ステルヴィオ。
荒削りでまだ上手に走れるかどうかも怪しいですが、道悪のスタミナ勝負なら持ってこいな感じがあるキタノコマンドール。
あと最後に、前走はさっぱりでしたが、伝え聞く調教内容が良く、揉みこまれる不安もあまりないグレイルを抑えた7頭を馬券の対象として勝負したいと思います。
ということで、春のGⅠは一旦お休みとなる来週の更新は、土曜日の夜。
アーモンドアイの牙城を崩す伏兵は現れるのか?オークストライアル フローラステークスの展望をお届けします。
それでは、明日は先生たちと中山に乗り込んでまいりますので、その結果なんかも来週の更新でお知らせできればでございます。
明日も競馬、頑張っていきましょう!
【重賞ポイントチェック_皐月賞(2018)】フルゲート割れも納得!主役不在も多士済々
いやぁ、もう鮮烈の一言!
確かに本命は打ったものの、それはラッキーライラックがある程度スムーズさを欠くと踏んでいたからで、アーモンドアイ自身があそこまで絶対的なパフォーマンスを披露するとはまったくの想定外でした。
それに、ラッキーライラックも100点をつけていい立ち回りを見せていたわけですから、ルメール騎手の口から「トリプルクラウン」の言葉がでるのも納得の鮮やかな勝利だったと言えるでしょう。
さて、今日は予定通り皐月賞のポイントチェックをお届けするのですが、中身は予定通りではありません。
もちろん、それはダノンプレミアムの回避があったからで、替わりにどんな企画にするか少し悩みましたが、よくよく考えてみれば、今年のクラシック世代はダノンプレミアムがいなくともハイレベルと言っていい、それだけ能力の高い馬が集まってるわけですから、結果主役不在のフルゲート割れとなってしまったとはいえ、それにふさわしいだけのメンツは揃っていると捉えてよいでしょう。
ということで、今日のポイントチェックは、皐月賞を予想するうえでの基本の「き」、前哨戦別の注目馬紹介をやってみようかと思います。
では早速、最大の登竜門、弥生賞から。
ダノンプレミアムの圧勝劇が鮮烈でしたが、2~4着の3頭も例年であれば主役級の扱いを受けておかしくない精鋭揃い。
特にジャンダルムとサンリヴァルは、スケールでは上位2頭に及ばないかもしれませんが、舞台となる中山2000mを複数回、しかも多頭数も経験している点は侮れないポイントです。
そのため、比較的紛れも多い皐月賞において、この2頭は抑え必須の2頭だと言えます。
ワグネリアンについては、個人的にワケあって、ここでは触れません。
そこはあしからず。
◆スプリングステークス
注目馬)ステルヴィオ
エポカドーロもいい競馬したよね?という意見もおありかと思います。
私もあのレースだけなら、それは同意見です。
しかし、これまで戦ってきた相手関係、同型の馬が多いここでは、以前のレースとは違い"上から目線"で自分のペースで運べるとは思えませんし、洗礼を浴びるとみたほうが妥当でしょう。
対して、完全なマイペースに持ち込んだエポカドーロをギリギリとはいえ差しきったステルヴィオは、これまでの大外一気とは違う競馬ができたことには一定の評価をしており、内でロスなく立ち回ることができれば好勝負に持ち込める可能性はあるとみています。
ですが、1800m以上に距離が延びることがプラスとは思えず、外枠なら消してもいいと考えています。
また、3着以下に関しては、着差からもわかるようにここは明らかに敷居が高く、今回は見送りで問題ないでしょう。
◆共同通信杯
注目馬)オウケンムーン
勝ちっぷり、走破時計とも、過去にこのレースをステップに飛躍した馬と遜色なく、とにかく一生懸命走ってくれる馬だけに、コース形態からも混戦となりやすい皐月賞はうってつけの舞台かもしれません。
あまり動きの取れない内枠だと苦しいかもしれませんが、そこそこ自由が効き、ロスの少ない真ん中あたりに入れば、本命まで考えられる1頭だと思います。
この組には、後のGⅠ馬タイムフライヤーを完封したグレイルもいますが、この共同通信杯の内容が立て直しには時間がかかりそうなもので、今回は乗り替わりも考えると、様子見でいいかと思います。
2月中旬阪神内回り2200mのOP特別からの参戦と、ちょっと特殊なローテーションではありますが、昨年もクリンチャーがこのローテできわどい4着に入っており、2000m以上の距離をこなすことに計算がたつということと、中山2000mと似てなくもないコース形態ということを踏まえれば、今後出世レースとして確立するかもしれないすみれステークス。
今年もターフ内外での話題に事欠かないキタノコマンドールが、このレースを快勝して皐月賞に臨んできます。
正直シビアに見れば、まだ真っすぐ走ることもちょっと怪しいのですが、確かにスケールの大きさを感じさせる走りはしており、あまり包まれず外を悠々走ることがめきれば、ここでも好走できるだけのポテンシャルはあると思います。
◆若葉ステークス
注目馬)タイムフライヤー、ダブルシャープ
このレースからは2頭を取りあげたいと思います。
どちらも重い印を打つまではいきませんが、共通しているのは心身ともにハマれば、勝負根性には見上げたものがあるため、長く追って叩きあいに加わることができれば、高配当の使者となる可能性はあると思っています。
特にタイムフライヤーの前走は、馬というよりも人の方にヤル気が感じられず、ズブい馬を動かすのに長けた内田騎手に替わるのは、ちょっと不気味なところです。
逆にこの2頭を抑えこんだアイトーンについては、明らかに恵まれての勝利と言えるため、ここは消しとみて妥当でしょう。
◆京成杯
注目馬)特になし
結構期待度は高いジェネラーレウーノが参戦してきますが、相手関係はほかのどのレースより楽であること。
スプリングステークスのエポカドーロ同様、マイペースに運ぶことは難しいとみるのが賢明であることから、今のところ積極的買う理由がありません。
以上、今日は出走各馬の前哨戦を振りかえってみました。
また先ほど発表されたから枠順をざっとみたところ、ジャンダルム、オウケンムーン、サンリヴァルあたりは期待してもいいのかあと、思っています。
それでは、明後日の夜の展望、というより連載企画『福永祐一ダービーへの道』第2回でお会いしましょう!