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中央競馬で行われる日曜日の重賞レースの展望を中心に、競馬にまつわるお話をお届けします。

【GⅠ ヴィクトリアマイル】このレース、マイルにつき……

今日はヴィクトリアマイルを展望します。

今年は一昨年のアーモンドアイ、昨年のグランアレグリアといったスーパースターの出走こそないものの、スーパーアイドルのソダシはいて、ほかにもアカイイト、レイパパレ、レシステンシア……、そして三冠牝馬 デアリングタクトもここに標準を合わせ戦列へと復帰。

ほかにも、アンドヴァラナウトやソングライン、ファインルージュといった生きの良い4歳馬が脇を固め、厚みという点では近2年に勝るとも劣らない顔触れとなりました。

さながら“ミスJRAコンテスト”とでも言うべききらびやかな一戦となった今年のヴィクトリアマイル。果たしてネームバリューの通り決着するのかーー。今日はこのあたりを重点にお話させていただきます。

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“舞台はマイル”という落とし穴

実はヴィクトリアマイル、過去にもネームバリューのある現役屈指の牝馬たちが数多く出走しています。
そして……、数々の牝馬が……、馬群に沈んでいます。

それが「なぜか?」と言うと、「マイルだから」です。つまり、注目度の高い中距離のレースで名をあげた馬が、そこで得たネームバリューのまま人気し、マイルの舞台で惨敗を重ねてきたレースがここ、ヴィクトリアマイルだということです。

今年にしてもその香りはプンプンしていて、マイルへの対応が怪しい?有力馬はこんな具合。

  • アカイイト
    上がりの速さ“だけ”なら対応できるかも?だが、追走力は皆無に等しく、新馬戦(4着)の1400m戦以降はずっと1800m以上の距離、つまりは道中のペースが緩やかな距離しか走ってない。
  • アンドヴァラナウト
    「マイル戦の成績は【1-3-0-0】と実績は十分。対応力は高い」とか新聞には書かれそうですが、この4戦はいずれも“走った距離がマイルだった”だけのもの。このレベルのマイル戦とは道中のペースがまるで別物であることから、真の意味でマイル対応はどうか……?といったところ。
  • デアリングタクト
    たしかに三冠馬、つまりは桜花賞馬なわけですからマイルがダメとは言い切れません。しかし、桜花賞にしろ、その前のエルフィンSにしろ、時計の掛かる馬場でバテた馬を拾って勝った感は強く、マイルにおける対応力の幅は未知数でしかない。
  • レイパパレ
    新馬、1勝クラスはマイルでの勝ち上がり。だが、メンバーレベル、時計とも高い次元の内容とは言えず、久しぶりのマイルが牝馬頂上決戦となると、レースを自分でコントロールできない限りは苦しいと言わざるを得ない。
  • レシステンシア
    阪神JFの勝ち馬であり、桜花賞NHKマイルCの2着馬。一見「マイル、サイコーじゃん!」て感じですが、それは3歳の春までの話。以降はトップレベルのマイル戦で一度も馬券になっておらず、終いのごまかしが利かない東京コースともなれば、ワンペース型のレシステンシアには厳しい舞台となりそう。

あえてネームバリューのある馬だけを抽出しましたが、ここにあげた5頭は、マイルだと確実にケチが付いてくる馬であることは抑えるべきポイントです。

対して、ソダシ、ソングライン、ファインルージュあたりは、マイルでこそ!の馬であり、ソングライン、ファインルージュの2頭は、格でこそ上記したアンドヴァラナウト以外の4頭とソダシには劣るものの、舞台適性という点においては一日の長があっておかしくない適性、能力を持っていると言えます。

GⅠを勝つということは、それだけ競走能力が秀でていることの証明であり、未知数である以上、マイルもこなしてしまう可能性はあります。

それでもなお、ヴィクトリアマイルというのはここで紹介した4頭のようなGⅠ馬が一敗地に塗れた舞台であり、それがマイルという舞台設定によるものということは、忘れてはなりません。

ポイントは脚の“持ち”

お次は馬場について。今週の関東地方は、木曜日から雨が降りつづき、当初は土曜日の日中まで悪天候が予報されていました。

しかし、フタを開けてみれば、土曜日の午前中には雨が止み、驚くべきは馬場状態!木曜の夜から土曜の午前中まで断続的に降りつづいたにも関わらず、なんと!朝から稍重発表……!土曜の10Rには良馬場にまで回復していました。

「どんな路盤してんだっ!」といったところですが、土曜日は午前中から発表の通り、いや稍重にしては「速い」と言える時計で推移し、メインの京王杯SC(1400m)も1.20.2で決着。このまま明日は降らない予報となっているため、馬場は「普通に高速」と言って差し支えない状態にあります。

ただし、土曜日は多少なり馬場が渋ったなかで競馬が行われたこと、先週までに馬場の内側はそれなりに傷んだこと、この辺りを考慮すると、今週からBコースに替わったとはいえ、速いだけではなく、しっかりとした持続力が必要な馬場状態だということです。

この馬場で長い直線を走るとなれば、スプリント系の馬、ワンペース系の馬には食指は伸びづらく、具体的にはレシステンシアあたりが買えない馬となってきます。

加えて、速いだけでなく、“持ち”も必要になるため、先行馬にとっては脚の“使いどころ”が焦点となり、ここは展開に左右される要素であることから、有力馬のなかではソダシやレイパパレといったあたりも軸にするには……、といったところでいます。

マイルはマイラー

ここからは印です。“もう”使ってしまいましたが、速いけど、豊富な“持ち”が求められる馬場状態、スピードの持続力勝負なら……!という観点にて、“マイルはマイラー”で印を打っています。

◎ 1枠2番 ソングライン
ひと言で言えば、東京のマイル戦らしい高速持続力勝負なら!もうこの馬でしょう!といったところ。昨年のNHKマイルC富士Sと、当舞台における長く良い脚を使ったレース内容を素直に評価したいと思います。

元々ムラッ気のある馬で、海外帰りもケチの付けどころとなりますが、ネームバリューのある馬たちが多く出走してきたことで、人気の方もなかなかに手頃となれば!これまでに魅せているパフォーマンスを重視し、東京マイルでこそ!のこの馬で勝負します。

 

○ 6枠11番 ファインルージュ
“持ち”の良さという点においてはソングラインに引けを取らないと思います。しかし、末脚の威力において、やや劣るところがあり、前走東京新聞杯にしても、勝ったイルーシヴパンサーの決め手が出色とはいえ、完敗の内容でした。

マイルでの安定感ならソングラインより上かもしれないですし、桜花賞の1.31.2という時計も好材料なのは確かですが、決め手の差で対抗にしました。

 

▲ 3枠5番 ソダシ
高速馬場の持続力勝負なら!この馬は外せません。ですが、先ほど述べた通り、ただ速いだけで東京の長い直線を凌ぎきるのは至難の業。レイパパレあたりが早めに仕掛けてくることも想定されるなかでは単穴(▲)が上々といったところでしょう。

それでも、ソダシ自らが押し切るかたちをつくるなら、マイルの高速決着はお誂え向きでもあり、勝つ可能性は十分にある1頭として3番手の評価としました。

 

△ 7枠13番 レイパパレ
いつも軽視してしまう馬なので、ここも内枠なら消しと考えていました。しかし、入ったのは7枠13番で、しかも自分より外側に先行馬らしい先行馬はいません。

それならば、先ほど紹介した「レースを自分でコントロール」ができる算段が立ち、算段通りに仕掛けることができれば、長い直線も持たせられると踏んでのものとなるため、本当にそうなったときを見越し、△を打たせてもらいました。

 

△ 2枠4番 マジックキャッスル
いきなり穴っぽいところにいきますが、ヴィクトリアマイルを語るうえで、もう1つ忘れてはならないこと。それが“リピーター”です。東京マイルという王道ながらにして、ここにしかない適性が求められる舞台。近走の内容はあまり褒められたものではありませんが、前走阪神牝馬Sでは、着順こそ振るわなかったものの、最後まで走ってはおり、バテた馬を拾っての馬券圏内はなくはないのでは……!?と密かに期待をしています。

 

△ 1枠1番 デアリングタクト
入った枠が良くなく、状態もやはり……?なため、思い切って!も考えたものの、それなりにパワーを要する高速馬場という条件から、元々のポテンシャルに敬意を表し、△の3番手にした次第です。理由は本当にこれだけなので、健在なら!圏内に食い込んでくるシーンは皆さんもご存じの通り、あって然るべきの決着ではないでしょうか。

 

☆ 8枠17番 シャドウディーヴァ
何度か穴馬に指名し、その度に……、なため、もう本当にここが最後だと思います。

では何で最後をここにしたか?と言うと、明らかに今回は控える競馬を示唆しており、この馬のベストパフォーマンスである昨年の府中牝馬Sのような競馬をしようとしているからです。

そのときと同じ脚が使えるか?は当然わからず、むしろ低いかもしれませんが、多少なり荒れてパワーを求められる馬場状態において、ゴール前は多くの馬が甘くなることが想定されます。そこを無欲の豪脚で……!というクライマックスに淡い期待を寄せ、おそらくこれが最後の穴馬指名となることでしょう。

以上が今日の印となります。テンも、ナカも、終いも速い、そして“持ち”の良いマイラータイプの馬を上位に取り、レイパパレ以外の△、☆は、持続力で劣る馬がそれなりの数垂れてくることを見越し、それらを拾って直線で順位を上げてくれるであろう馬をチョイスした次第です。

なお、ここまでに名前をあげ、あまり評価できないとしたアカイイト、アンドヴァラナウト、レシステンシアは、上述してきた通り、良馬場での施行がほぼ確実な状況においては、マイルにおけるスピード、または持続力に劣ると判断し、今回は見送りとしています。


さて、今日は“マイルはマイラー”を“もう”使ってしまったと言いましたが、これは例年であれば安田記念で使う格言で、春の番組上の都合から、安田記念には多く中距離馬が出走するものの、結局は餅は餅屋でマイラーが勝つという先生と私が毎年言っている格言だったりします。

これを使ったレースこそ違いますが、中距離路線から多くの実力馬が出走してきた今年のヴィクトリアマイルは、“マイルはマイラー”を使うに相応しいのではないか?という見方からレース展望をさせていただきました。

今週もお付き合いくださり、ありがとうございます。