hanakota horse club

中央競馬で行われる日曜日の重賞レースの展望を中心に、競馬にまつわるお話をお届けします。

【GⅠ 天皇賞・春】寄る辺のないレース

昨日につづき今日はレースの展望を行ってまいります。阪神 芝 3200mというレア条件での施行となりますが、コースの特徴についてはこちらにまとめておりますので、併せてご参照くださいませ。

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58kgの捉え方

秋の天皇賞安田記念宝塚記念エリザベス女王杯における古馬を語る際、58kg(牝馬は56kg)の斤量は、予想を組み立てるうえで大切なポイントになることは言うまでもありません。

しかし、今年の場合ちょっと捉え方がいつもとは異なり、単に背負ったことの有無だけで片付けて良い話ではないと思っています。

というのも、このレースまでに58kg(56kg)の経験を持つ馬は、クレッシェンドラヴ、ディバインフォース、ディープボンド、トーセンカンビーナ、ハヤヤッコ、メロディーレーン、ユーキャンスマイル(五十音順)の7頭しかおらず、明確に勝ち負け、ないし馬券圏内を検討できそうな馬はディープボンドに限られてしまいます。

つまり、ほかの11頭にとって、ディープボンドは例外ながら、ほかの6頭に対しては、斤量経験で劣るものの、経験のない組で有力視されるタイトルホルダー、テーオーロイヤルらは、地力がそもそも違う馬たちと言えるわけで、見方によっては「斤量はあまり問題ではない」と言えなくもありません。

ですが、別の見方をすれば58kg(56kg)を経験し、実績も伴ったディープボンドにとっては、斤量経験のアドバンテージは例年以上に大きく、この点だけを取っても「断然」と目されて何ら不思議はありません。

憎い演出!?

今年の出走メンバーは、先ほどあげた斤量のことはもちろん、3000m級のレース経験、おそらく渋るであろう馬場への適応など、あらゆる要素においてディープボンド一強の構図となっていました。

しかし!木曜日に発表された枠順を見ると……、なんとビックリ!ディープボンドが大外18番に入っただけでなく、ハナが想定されるタイトルホルダー、先行勢のなかで有力視されていたシルヴァーソニックまでもが8枠に入ることとなり、前めでレースをする馬が尽く外枠へと追いやられる並びとなりました。

これに対し、先行馬で唯一内枠を得られたアイアンバローズは1枠1番に入り、これ単独でみれば最終週を向かえてもなお、内側の馬場が活きる状態をキープしていることも含め絶好枠ではあるものの、8枠の3頭、とくにタイトルホルダーとディープボンドが一気に出してくることを考えると、折り合いに不安のあるアイアンバローズにとっては、無駄に消耗させられる可能性は五分五分くらいであるため、1枠1番も手放しで喜べるものではないと思われます。

一方、タイトルホルダー、ディープボンド、それにシルヴァーソニックもですが、末脚で勝負できる馬ではないことから、スタートで後手を踏むと、中途半端な位置取りとなり、終始外を回る苦しい展開を強いられることが懸念されます。

おそらく、メンバー構成的に1000mを通過するくらいにはスローと言えるながれに落ち着くとみていますが、そこに至るまでの消耗は、1枠1番のアイアンバローズ、8枠の3頭ともそれなりに被ることが想定でき、これら4頭同士で決着することはまず考えられず、ペースは落ち着いても差し馬の出番はあるものと考えています。

つまり、登録時点での様相はディープボンドが断然の一強であったものの、発表された枠順・並び、からの想定される展開により、一気に混戦ムードへと一転。実に難解なレースへと変貌を遂げたわけであり、穿った見方をすればJRAさんによる“憎い演出”が施されたと言えなくもありません。

かと言って差し馬も……

並び、からの展開により、先行勢がアテにならないとなれば、自ずと馬券の中心は「差し馬から」となりますが、その差し馬にしても、58kgを経験しているユーキャンスマイルらは盛りが過ぎた高齢馬。テーオーロイヤル、マカオンドールの4歳勢は、斤量経験が……、となり、どれも決め手に……、欠けるんですよね。

ただ、先ほどの通り先行勢には「こうなるとアウト」なシーンが容易に想定でき……、となり、頼りのディープボンドも例外でない。

本当に寄る辺のないレースとなってしまいましたが、本命は、この馬のプラス要素に賭けてみることにしました。

◎ 4枠7番 テーオーロイヤル
昨日公開したコースの攻略ポイントでも話しましたが、阪神 芝 3200mは、過去3回しか施行実績のないレア条件となり、外回りと内回りとが混在するトリッキーなコースとなります。

そのうえで騎乗経験の有無が勝敗を決するポイントとし、経験のない騎手が騎乗する馬には、それが減点材料となると書いたわけで、このテーオーロイヤルも該当馬の1頭――本来であれば本命は打ちづらい1頭です。

しかし、出走する全18頭を見渡したとき、枠順と脚質、馬場とがマッチする枠に入ったのはこの馬だけであること。斤量経験のなさにしても目下の充実具合による地力の高さを考慮すれば「斤量経験はさほど問題でない」とも取ることができること。加えて、コースの経験がないとは言え、鞍上の菱田騎手はこの馬に乗りつづけ手の内に入れていること。これらのプラス要素が、馬の斤量経験、騎手のコース経験を上回ってくる可能性はあるとみて、勢いも買ってここから入ろうと思います。

 

〇 8枠18番 ディープボンド
このなかにおいて実力は言わずもがな。斤量、距離の経験、さらに馬場への適応力を含め馬単独でみたとき、この馬の右に出る存在は見当たりません。

ですが、これは先ほどから述べている通り、入った枠、並び、からの展開における不安要素があまりにも大きく、経験と地力だけで勝つまではなくとも、圏内には……!の可能性は“それなりにある”ということで対抗以下にはしないでおきました。

 

▲ 3枠5番 マカオンドール
前走が案外ではありましたが、主戦の松山騎手に手が戻ることは間違いなくプラス材料であり、松山騎手だからこそ!溜めて一気の競馬に期待は持てます。

それでもテーオーロイヤルと比較したとき、直接対決の結果は着差以上のものがあり、実は準オープンを地力で勝っていなかったりもするため、能力面でテーオーロイヤルには敵わないと見立て▲(単穴)としました。

 

△ 1枠1番 アイアンバローズ
長距離路線へと舵を切って以降、2戦つづけてGⅡで2着と、安定した走りを見せており、入った枠も1枠1番。それだけを取れば本命にしても……!ではあります。

が、これも先ほど述べた展開的な不安が拭えないなか、鞍上の石橋騎手もコース初経験。減点材料が明確なため、ハマれば!の存在として△の一番手としました。

 

△ 7枠13番 ロバートソンキー
実は、この馬はまだ底を見せておらず、前走こそ物足りない内容でしたが、3歳時の神戸新聞杯3着、菊花賞6着の実力は伊達じゃないと考えられます。

それにやることも“追い込むだけ”とシンプルなことから、鞍上の腕もさほど気にする必要はなく、上位陣に不安があるからこそ、この馬のような“やることが決まっている馬”に一票投じてみたくもなってきます。

 

△ 8枠16番 タイトルホルダー
ディープボンドとの比較で、より融通が利かないとなれば消しても……、がシビアな見立てではあります。

それでも、先行する馬自体は少ないメンバー構成なため、バッと行ってペースを握ることはできなくもなく、その可能性が捨てきれないため、一応の抑えとして印を回しました。

 

△ 5枠10番 ヒートオンビート
ここ最近は2000m前後でもそれなりに走っていたため、ここまで距離が延びてどうか?はあります。

ただ本来的には2000mよりも長いカテゴリーの方がこの馬には向いていると思われ、堅実さは評価すべきポイントではないでしょうか?その堅実さで圏内くらいは……?で、念のため抑えようと思います。

 

☆ 2枠4番 ユーキャンスマイル
地力の低下は明らかながら、同じくらいメンバーレベルも下がった今年。枠にも恵まれ、58kgの経験も豊富!となれば、出番があっても!と思っています。

実際、GⅡレベルなら着順はそこまで落としておらず、今回のメンバーレベルがGⅡと同じくらいと捉えれば、噛み合って一発!はあっても良いのではないでしょうか?

印を打たなかった馬、というか分かってはいるけど外したことが1つ。それは“長距離は騎手で買え”を半ば無視している点です。たしかに長距離の実力が拮抗したメンバー構成、未知の58㎏(56㎏)を考えれば、ルメール騎手、川田騎手、武豊騎手を外したのは「う~ん」と思わなくもないですが、枠順や馬場、馬の適性を考えたとき、騎手の腕よりも馬の欠点が勝るとみて、格言は“あえて”無視した次第です。


今日は本命から穴までどれも曖昧なコメントばかりになってしまいました。ですが、それだけ混戦で寄る辺のないレースだということ、私の歯切れの悪さからもお分かりいただけましたでしょうか?好きなレースでもあるので本当なら「これ!」という馬で勝負したいところですが、過度に買い過ぎず、「当たれば……!」くらいが妥当かな?と思うところです。

ま、来週も来週とて……、難しい一戦なのは百も承知ですが、こういうレースを1つでも拾い、運が良ければ高配当!を願うばかりです。

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