hanakota horse club

中央競馬で行われる日曜日の重賞レースの展望を中心に、競馬にまつわるお話をお届けします。

【GⅠ 有馬記念】何回も何回も何回も!

あれはテレビだったか、ネットの記事だったかは忘れましたが、福永騎手は、競馬が開催される週末の夜、宿舎では競馬新聞を見て、何回も何回もレースの展開をイメージしてシュミレーションするそうです。

それと同じく木曜日の夜から何回も何回も何回も!シュミレーションしてきた答え合わせが、あと十数時間後に明らかになろうとしています。

今日は中央競馬の1年の総決算たる“国民的行事”有馬記念をお題に、今回の予想に至ったプロセスを披露してまいります。

本当に豪華メンバーか?

有馬記念は“国民的行事”なわけですから、毎年のごとくメディアでは「中山芝2500mに豪華メンバーが……!」なんてことが判を押したように言われますが、はたして本当に豪華メンバーなのでしょうか?

たしかにGⅠ馬が6/16頭、重賞勝ち馬 15/16頭と、字面としての格では豪華というか、総決算としての体面は保っているように思えますが、翻ってメロディーレーンが出走できてしまう(地力でオープン入りしたことは素直にすごい!と思うけど)あたり、メンバーが揃った感というのはイマイチないんですよね。

ノーザンファームを中心に馬の“使い分け”が日常化し、ひと昔前であれば、秋は古馬三冠などと言われる天皇賞・秋ジャパンカップ有馬記念すべてに出走するのが常道だったところ、近年では多くて2つ、少ない場合は1つなんてこともザラにあり、それゆえに各レースの出走メンバー全頭のレベル感は、落ち着きやすくなっています。

さらに今年は(実は去年もだったけど)、ほぼ絶対的と思しき2頭がアタマ1つも2つも抜けた実力馬として君臨しており、しかも2頭の枠順はともに及第点、どころか片一方は「バッチリです。完璧な枠です」とまで鞍上に言わせる絶好枠。基本的に勝つのは2頭のどちらなのか?馬券圏内の残り1枠にどの馬が入り込むのか?ここを見極めることが、今年の有馬記念の予想と言え、どちらが勝つのか?また、馬券に絡むもう1頭がどの馬なのかを見定めるべく、まずは出走各馬の実力をよ~く加味したうえで、地力ベースで私なりの序列なんてものをつくってみました。

※各項目とも馬番の順に列記しています。

①勝ち負けする馬

②馬券に絡みそうな馬(1)

  • ディープボンド
  • ステラヴェローチェ

③馬券に絡みそうな馬(2)

④今回は見送り

  • ペルシアンナイト
  • パンサラッサ
  • モズベッロ
  • メロディーレーン
  • ユーキャンスマイル
  • キセキ

①はもうお分かりのとおり、あえて名前は伏せてきましたがクロノジェネシスとエフフォーリアの2頭。馬券に絡みそうな馬を(1)と(2)に分けたのは、(1)の方が今回の条件によりマッチしそうな馬として、1段評価を上げた馬となっており、対して(2)は、地力だけでなく展開なども噛み合ってこないと難しいかも?という意味で「地力ベース」とは言いましたが、この時点で枠順と鞍上だけは評価基準として差を付けています。

④については「もしきたらゴメンナサイ」ということで、理由はそれぞれありますが、すでに盛りを過ぎている、もしくは前走までのパフォーマンスなどから、明確に足りないと判断できた馬たちとなっています。

落とし穴は馬場にあり……?

出走各馬の序列を定めたところで、次は馬場について考えてみましょう。今回出走する馬のメンバー構成では、クロノジェネシスとエフフォーリアが抜けていて、この2頭で馬券になる3つのイスのうち、2つは埋まってしまうことが“普通に”考えたら濃厚といったところです。

しかし、競馬はやはりレースである以上、“やってみないと!”の要素はあり、ゲートが開き“やってみた”結果、よもやの結末をむかえる……、なんてことも競馬バカの私たちは知っています。

そして、“よもや……”があるとすれば、今年の場合、それは馬場によって演出されるものと思われます。

今開催の中山の馬場は、開幕週の1200mで1.07台の決着があったり、稍重ながら3週目のターコイズSでは1.32台が計時されるなど、全体的に時計が速い傾向にあり、馬場の内側も4週目をむかえた今週もなお、良好な状態をキープしています。

そのため、好走馬の多くは馬場の内側を通る馬で、そこを通るのは大体が先行馬。割と極端な“内・前有利”なバイアスがかかっています。

今週も土曜日は金曜日の夜の雨が影響し、稍重スタートではあったものの、引きつづき“内・前”の傾向は継続されており、4コーナーで外にいる馬は、全体を通してかなり苦戦を強いられていました。

天気はこのまま回復にむかっていくため、おそらく明日の馬場も同じ傾向。かつ乾いてくる分、時計は土曜日よりも速くなると思われ、先行する馬は状態の良い内側の馬場を通ることでなかなか止まらず、後ろから差し込むにはよほどの展開利がないと厳しい馬場になることでしょう。

これは有馬記念においても同様のことが言え、たとえ地力で抜けたクロノジェネシス、エフフォーリアと言えど、スタートで位置取りを悪くしたりすると、取りこぼす可能性は出てくるわけで、そうなったときに注意すべきは、2頭よりも前にいる逃げ・先行馬の粘り込み。こういった決着が無きにしも非ずな馬場コンディションにあることは、予想をするうえで忘れてはならないポイントとなり、2頭にとって落とし穴は、レースに出走するほかの馬との兼ね合いよりもまず、馬場を味方にすることができるか否かになってきます。

「先行>差し」でヒモ選び

断然の2頭ではあるものの、馬場との兼ね合い、もとい位置取りでどうなるか?を踏まえ、ここからは印へとまいります。

本命はどちらの馬なのか?また、相手にはどんな馬を選ぶのか?木曜日の夜から何回も何回も何回も!シュミレーションした結果を披露していきましょう!

 

◎ 5枠10番 エフフォーリア
本命は一気の世代交代!ということでエフフォーリアにしました。理由としては、いまの馬場状態を考慮したとき、クロノジェネシスとの比較でどちらの方が先行力があるか?と考えたとき、これまでの戦歴からエフフォーリアの方が明確に前にいくスタートでの推進力があり、鞍上もずっとコンタクトを取りつづけている騎手であるため、積極果敢に出していったダービーのときと同じく、強気に行っても折り合いをを心配しなくて良いことは大きな強みだと思います。

また、仮に枠順の差でクロノジェネシスの後ろに着けることになったとしても、2頭の間にいるユーキャンスマイル、ステラヴェローチェとも行き脚が良い馬ではなく、パッとクロノジェネシスをマークする位置にポジションを取れそうなこと――つまり、どちらに転んでもレースを有利に進められる公算が立てやすいことを強調材料とし、本命にはエフフォーリアを推したいと思います。

 

〇 4枠7番 クロノジェネシス
ルメール騎手が「バッチリです。完璧な枠です」と言うように、たしかに単体でみれば完璧な枠だと思います。しかし、エフフォーリアのところで述べたように、並びの関係でエフフォーリアにマークされやすく、かといって明確にエフフォーリアより先行できるか?と問われれば、人馬のコンタクトを含め少し難しいと言わざるを得ません。

ただし、クロノジェネシスにあって、エフフォーリアにないものは確実にあり、それは今年の宝塚記念や昨年の天皇賞・秋で魅せた爆発的な末脚です。そのため、勝ちを見出すのであれば、末脚の爆発力を引き出すしかなく……、でも、引き出されればエフフォーリアとて返り討ちにする威力は保持しているため、エフフォーリアに引導を“渡させない”唯一の存在という見方で対抗としました。

 

△ 3枠5番 ディープボンド
馬場のバイアスでエフフォーリア、クロノジェネシス以外の馬が……、とは言いましたが、いまの馬場状態を両馬の鞍上が理解していないとは言い難く、とくにエフフォーリアは前走の天皇賞・秋でもコントレイルを前受けして圧勝してるように、前に行くことを何ら厭わないと考えると、やはり勝つのはエフフォーリアが最有力であり、これを差せるだけの決め手があるとすれば、クロノジェネシスしかいない!というのがここまでの見解となります。

なので今日の印は単穴(▲)はなしで、2頭に次ぐ馬の候補を△(ヒモ)と☆(穴)で紹介していきます。1頭目はディープボンドにしました。

理由はまず、何と言っても先行できること。それから天皇賞・春を見れば一目瞭然ですが、スタミナだけなら現役でも屈指のものを持っていること。さらに騎乗する和田騎手はこの馬に乗りつづけており、豊富なスタミナを出しきる競馬を躊躇なくさせることができること。

この3点とロスなく回ってこられるであろう3枠5番を活かし、「あわよくば!」で積極的に動いていってくれれば、前述した2頭には及ばずとも、圏内に残すくらいは十分にやってくれるだけの条件の合致と能力は持っている馬だと思います。

 

△ 5枠9番 ステラヴェローチェ
いまの馬場を考えると、適性としては真逆にいる馬だと思います。それでも△の2番手にしたのは、この馬はどんな条件であっても必ず最後に脚を使ってくれるからで、立ち回りで後手を踏んだ皐月賞、ダービーにせよ、3着にはきちんと入っており、馬群を物ともしないのも好感が持てます。

菊花賞こそ押し出された1番人気で正攻法で届かず……、でしたが、再び挑戦者の立場となり、まだお試し的な鞍上交代と考えれば、金曜日の夜、シャケトラと会社を出るときに話していたように思い切った競馬はできる騎手でもあるため、差してくる馬の急先鋒として、ステラヴェローチェを全体の4番手としました。

 

△ 3枠6番 ウインイキートス
この馬の見立ては、まだ重賞戦線では自分のペースでないと対応が難しいと思っていて、激しい展開になれば1円も要らない馬だと思います。

しかし、それだけに他馬からのマークは今回ほぼ皆無になりそうなわけで、これは上手く通じるかわかりませんが、いわゆる馬群の“エアポケット”的なところをスルスルと回ってきたとき、最後にひと脚使い……、それが圏内だった……!なんて展開がいまの馬場ならあるのではないか?(先生いはく“ヌルっと”くる馬)と思い、アカイイトやアサマノイタズラなど、決め手のある差し馬でなく、いまの馬場がもたらす「先行>差し」の傾向に則り、この馬を抜擢しました。

ちなみに、馬群のエアポケットを説明するのはなかなか難しいのですが、有馬記念で言うなら、2017年の2着馬 クイーンズリングの好走はエアポケットを利したものになるかな?と思いますので、良かったらレース映像をご覧いただければと存じます。

 

☆ 6枠11番 シャドウディーバ
適性真逆じゃん!て感じですが、もし大穴ならこの馬だと思います。と言うのも、前々走 府中牝馬ステークスで魅せた末脚は、まさに“奥手のハーツクライ”そのもので、一般的に晩成型が多いとされるハーツクライ産駒が覚醒したときに魅せるそれでした。

前走のジャパンカップでは、この馬にとっては奇策とも取れる先行策を取り、いつもとは違う競馬をさせられたにも関わらず7着と健闘しており、良さを引き出すことに専念すれば、またエフフォーリア、もしくはディープボンドあたりの仕掛けが早くなり、展開的に差しが届くかたちになれば、ラストの爆発力はステラヴェローチェあたりと比較しても遜色ないため、本当にハマってくれば……、の穴として推奨させていただきます。

 

消 7枠13番 アカイイト
消 7枠14番 アサマノイタズラ
消 8枠16番 タイトルホルダー
アカイイトとアサマノイタズラは、ウインイキートスのところで触れたように馬場を考えたときタイプが全く合わないのと、脚力的に外を回す、もしくはうんと下げて馬群を割るにしても、圏内にまで持ってこられる脚を持っていないため消しとしました。

タイトルホルダーについては、タイプは当然合うのですが、如何せん……、言わずもがなの8枠16番ですし、乗り難しいところがあるこの馬で、横山 和生騎手のテン乗りというのも、減点材料にせざるを得ず、本命・対抗をガチガチにいってるため、馬券のどれかには組み込んでも、印としては「消」という評価にしました。


さすがに“国民的行事”だけあり、私たち競馬バカにとっての1年間のメインレースとも言える有馬記念ですから、それなり以上に今日は書き込んでしまいました^^;最後までお付き合いくださった全国11人のhanakotaファンの皆さんはじめ、お読みいただいた方々には感謝申し上げます。

おそらくもう“何回か”はシュミレーションして、最終的には何回も何回も何回も!そして何回も!イメージを膨らませたうえで馬券は購入することになると思いますが、いずれにしても悔いの残らないかたちで明日の15:25をむかえたい次第です。

今年も残すところあとわずかとなり、年内の更新もあと2回、ホープフルS東京大賞典を残すのみとなりました。いつもであればレース前日の夜に更新するこちらですが、27日の夜に競馬の神様との忘年会が入ってしまったため、ホープフルSは明日の夜に更新したいと思います。

おそらく有馬記念で尽き果てているでしょうから、内容はかなり薄めになってしまいそうですが、できる限りでお役に立てるよう書いていきますので、今年もあと少し、お付き合いいただけますと幸いです。

それではまた明日。どんなかたちでホープフルSをむかえるのかは……、乞うご期待!ということで^^;