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中央競馬で行われる日曜日の重賞レースの展望を中心に、競馬にまつわるお話をお届けします。

【GⅠ 宝塚記念】競馬漁夫の利の法則

宣言通り、2週間のお休みをいただき、今日は上半期の総決算!宝塚記念の展望をお届けします。

ウマ娘でも人気のゴールドシップ以来、史上2頭目の連覇。そして、これまたウマ娘になっているグラスワンダー以来のグランプリ3連覇がかかるクロノジェネシス

対するは、大阪杯で並みいる強豪を撃破し、一躍スターダムへとのし上がったレイパパレ。この2強対決に多くの注目が集まるわけですが、そんなときこそ!心得ておきたい競馬予想の法則をご紹介しながら、今日は進めていきたいと思います。

その法則とは……、名付けて【競馬漁夫の利の法則】ですっ!!

【競馬漁夫の利の法則】とは

競馬の格言のひとつに“両雄並び立たず”という格言があることは多くの方がご存じだと思います。でも、何で並び立たないのか?をご存じの方、というより並び立たない理由を考えた方というのは、あまりいないのではないでしょうか?

実はこの並び立たない理由こそ、【競馬漁夫の利の法則】にあるんです。

どういうことか?と言うと、今回のような2強対決の構図になったときと言うのは、お互いがお互いを意識し過ぎるあまり、レースでは終始お互いに合わせレースを展開していくため、お互い、つまり当事者同士で“やり合う”かたちでレースが展開されることとなります。

そして、この間隙を縫うかのように、または“やり合う”のを尻目に逃げ切ったり、はたまた“やり合い”に敗れた1頭をかわしたり……、と、まさに漁夫の利を得て好走する馬が両雄を並び立たせなくしている存在となり、このテの馬が1頭くらいは馬券に絡むことが“おうにして”ある!というのが、【競馬漁夫の利の法則】となり、言い方を替えれば、レース展開の“外”にいる馬が馬券に絡む法則となります。

直近であった【競馬漁夫の利の法則】例

次にこの【競馬漁夫の利の法則】を直近であったGⅠレースでみていきましょう。それぞれJRA様公式のレース動画を貼っていきますので、是非、解説と併せてご覧くださいませ。

例① 安田記念 該当馬:ダノンキングリー

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まずは直近の安田記念から。グランアレグリア断然の様相から、各馬グランアレグリアをマークして進む展開のなか、自分の競馬に徹したダノンキングリーが悲願のGⅠ制覇という決着になったこの一戦は、まさに展開の外にいる馬が勝つ、漁夫の利の典型と言えるレースです。

例② 天皇賞・春 該当馬:ワールドプレミア

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果敢に仕掛けた戸崎騎手のカレンブーケドールに対し、呼応して動いた和田騎手騎乗で1番人気のディープボンド。でも勝ったのは……、ギリギリまで仕掛けを待った福永騎手のワールドプレミア。小回り特有の仕掛け合いからの“後だしじゃんけん”的漁夫の利レースです。

例③ 大阪杯 該当馬:レイパパレ、モズベッロ

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上半期最大の漁夫の利レースといえばコレ!コントレイル、サリオス、グランアレグリアの三つ巴決戦に注目が集まるなか、すんなり逃げたレイパパレがこの3頭を尻目に圧勝劇を演じたわけですが、このレースには本当にさまざまな駆け引きが存在しており、おそらくは3頭のなかで一番瞬発力に乏しいサリオスから動き始め、次いでグランレグリア、コントレイルは2頭が先に動いてバテたところを差す算段をしていたはずで、レイパパレはサリオス、グランアレグリアの仕掛け合いで“たれる”ものと思われていたのでは?と考えられます。

しかし、実際にはサリオスは内で身動きが取りづらかったこと、予想以上に馬場が悪化し、グランアレグリアも仕掛けを早めることができず、コントレイルはコントレイルで
グランアレグリアに付き合ってしまったことにより、直線を向いた時点で勝負あり。すでにレイパパレは手が届かないところへ行ってしまっていたというものです。

ちなみにモズベッロは、馬場の恩恵もあることながら、直線で3強が四苦八苦するなかを差し込んだ、天皇賞・春のワールドプレミアと同じかたちの漁夫の利となります。

このほかにも高松宮記念のダノンスマッシュ、オークスのユーバーレーベン、ダービーのシャフリヤールなど、実は今期、漁夫の利決着が頻繁に起こっており、各レースで中心視されていた馬が絶対的でなく、現在の競馬界においてはどの路線にも確固たる存在がいないことの証左なのかもしれません。

加えて忘れてはいけないのが、漁夫の利を演じた騎手というのは皆一様にトップジョッキーと言われる騎手ばかりだということ。すなわち、該当馬に騎乗していた騎手というのは、この漁夫の利の法則をよく理解しており、いかに展開の外で競馬をすれば良いかをちゃんと心得ている何よりの証拠となっています。とくに川田騎手は昨年GⅠで負けつづけたのがウソのような活躍ぶり。本当のトップジョッキーへと飛躍した影には、この漁夫の利を心得たことが大きく影響しているものと思われます。

漁夫の利がありそうな並び

話を宝塚記念に戻し、ここからは【競馬漁夫の利の法則】も交えた印を紹介します。木曜日の午後に出た枠順から、今回も漁夫の利は十分に考えられると思います。

◎ 7枠10番 カレンブーケドール
今日のテーマが【競馬漁夫の利の法則】だからではなく、普通に考えたら……、のクロノジェネシスを本命にしなかったのは、枠順の並びがあまり良くないからで、レイパパレを除く有力馬のなかでクロノジェネシスが最も内側の枠に入っており、結構マークのキツい道中になることが考えられるから。

対してカレンブーケドールは、クロノジェネシスをみて進めるには絶好といえる並び関係にあり、レイパパレ含め上位人気の2頭へのマークは別に自らがやる必要もないため、自分の競馬に徹しやすい立場でもあること。それにもちろん、地力はGⅠでも十分に足りること。でも、この馬のキャラクターも理解はしているので、何かにやられることもまた十二分に想像できますが、馬券の軸としては、漁夫の利要素も含め、最も信頼に足る存在として、ここから勝負したいと思います。

〇 5枠7番 クロノジェネシス
地力、いまの充実ぶりからして、普通にいけばここから入るのが当然ではあります。しかし、上述したように並びがお世辞にも良くなく、本当にマークがキツくなった場合、乗りやすいタイプの馬ではないため、ルメール騎手といえど、乗り替わりの不安が覿面に効いてきてしまうことも考えられ、今回は〇(対抗)に落とすことにしました。

けど、勝つ確率で言えば、この馬が最右翼であることに私自身疑いはなく、漁夫の利的要素がすべて杞憂に終われば、圧勝されておかしくありません。

▲ 2枠2番 レイパパレ
何より大阪杯のような楽な展開にはさせてもらえないだろうこと。加えて、クロノジェネシスにある不安要素がすべて払拭されてしまった場合、地力でクロノジェネシスより上か?というと、おそらくそうでないこと。

これらの理由から3番手の評価としていますが、クロノジェネシスにある不安がすべて現実のものとなったとき、最もその恩恵を受けるのはこの馬であるはずで、そのときはGⅠ連勝が現実のものとなる……。ということで▲(単穴)以下には落とせませんでした。

△ 6枠9番 アリストテレス
推奨理由はカレンブーケドールと同じで、上手くすれば展開の外へいける可能性があることにありますが、阪神大賞典でみせたような乗り難しさがあり、武 豊騎手といえどテン乗りとなるのはマイナスということで△の一番手としました。

△ 8枠13番 キセキ
もう“終わってる”可能性もなくはないものの、舞台適性は折り紙つきであり、漁夫の利レースで上手いことやってきた福永騎手の手腕も恐いところ……。この恐さだけで抑えます。

△ 1枠1番 ユニコーンライオン
鞍上は強気の坂井 瑠星騎手ということもあり、遮二無二ハナを取り主導権を握ればもしかして……!?というのも、レイパパレの川田騎手も「今回は大阪杯ほど甘くない」ことは認識しているはずで、後ろを意識した騎乗をしたとき、今度はこの馬が“大阪杯のレイパパレ”になることは何回かに1回はあるかも……?温度感としてはそのくらいですが、前で穴が開くならコレだろ、ということで印を回しておきます。

☆ 6枠8番 カデナ
東京マイルの安田記念阪神内回り 2200mの宝塚記念。ここまで条件が異なるレースなのに、穴馬が同じというのは……、ですが、この馬はやはり小回りでこその差し馬ですし、型通りレイパパレを早めに捕まえにいく展開になれば、各馬ラストで甘くなったところを……、はやっぱりこの馬でしょう!それに今回は決め打ちできたら恐い松山騎手が鞍上でもありますので、それにも期待しての推奨となります。


馬券については、基本カレンブーケドールから買うものの、クロノジェネシスが勝つ馬券も買いつつ、良いかたちで上半期を締めくくれれば!と思います。

これで上半期のGⅠは終わり!となり、今年は久しぶりにGⅠだけとはいえ、すべてのレースで書きつづけることができました。夏の間はどうするか……?まだ決めかねているところですが、ちょっとこのブログの在り方なんかも改めて考えながら、夏競馬、そして秋のGⅠシーズンに備えたいと思います。

まずはこの半年間、お付き合いいただきありがとうございました。
このブログが少しでも皆さんの馬券検討に役立っていましたら幸いです。