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中央競馬で行われる日曜日の重賞レースの展望を中心に、競馬にまつわるお話をお届けします。

【GⅠ 天皇賞・春①】初モノ攻略!阪神 芝 3200m篇

1週間のお休みをいただき、今週からは春競馬のクライマックス!週末の天皇賞・春から来月の安田記念まで、6週続くGⅠウィークを今年も存分に楽しみたいと思います。

残念ながら新型コロナウィルスの感染拡大による再びの緊急事態宣言の発出に伴い、しばらくは無観客での開催が続くと思われ、せっかくのGWも……、ではありますが「できた時間でしっかり予想を!」ということで、今週末に行われる天皇賞・春は、2回にわたって展望してまいります!!

それでは、第1回となる今日は、今年の天皇賞いえばまずはコレ!伝統の淀の2マイルに替わるひのき舞台、阪神競馬場 芝 3200mのコースを私なりに解説させていただきます。2月の終わりに一度使われたとはいえ、史上2回目の施行でまだまだ未知な部分も多い“初モノ”コース。ポイントとなる箇所をスタートから順を追ってみていきましょう。

はじめに

ポイントを掻い摘んでいく前にコース全体のレイアウトから。このコースは外回りマイルよりちょっと3コーナー寄りの地点からスタートし、1周目の3~4コーナーは外回りを、2周目は内回りを使うというレイアウトになり、コーナーは6つ、阪神といえば!のゴール前の坂も2度越えるかたちとなります。

コースの形状は下記、JRAのホームページに立体図、平面図、高低差が詳しく紹介されていますので、こちらをご参照ください。

www.jra.go.jp

【ポイント①】スタートから1周目3コーナー

最初はスタートしてから最初のコーナーにあたる外回り3コーナーまでの距離について。スタート地点は上述の通りマイルのスタートからやや3コーナーに寄ったところとなり、マイルでの3コーナーまでの距離が444mに対し、目視でおおよそ100mくらい寄っているイメージとなりますので、スタートしてから最初のコーナーまでの距離は300m強はあると言えます。

なので、コーナーに進入する前に比較的距離の余裕はあり、フルゲートの8枠とかだと厳しいですが、外めの枠からでも先団に取りつくのはさほど難しいことではない設定となっています。

また、外側主導で馬群が形成されやすいことに加え、この地点は平坦から下りに差し掛かるポイントでもあるため、外側の馬が被せ気味に先手を主張すると、これに内側の馬も対抗、しかもスピードに乗りやすい下りということで、ペースが上がりやすい設定とも、みて取ることができます。

【ポイント②】1周目3~4コーナーから1コーナー

続いて1周目の3~4コーナーからホームストレッチに掛けてですが、ここは外回りを使うということで、総じてゆったりとした広いつくりになっており、3コーナーからゴール板手前の急坂までは下り、外回りなので当然ホームストレッチも長く……、ということで、どこを取ってもスピードに乗りやすい条件が揃っており、折り合いの保障がない馬にとっては、ここを如何に我慢できるかが、レース全体の結果に直結するポイントとなります。

加えて、外回りの長いホームストレッチを使うという点においては、隊列の入れ替わりも起こりやすく、もしスタートが落ち着いたとしても、ここで隊列が変わり、ペースが乱れることがあり得るということもアタマには入れておきたいところです。

【ポイント③】2周目3コーナーからゴールまで

3つ目のポイントは勝負どころとなる2周目の3~4コーナーからゴールに掛けて。2周目のここは1周目から一転、内回りを使うことから、最後の直線は自ずと短く、その分当然仕掛けも早くなるわけで、ここまでおよそ2400m走ってきたうえでのロングスパートで、本当のスタミナが求められるポイントとなります。

もちろん2度目の坂越えがゴール前に待ち受けており、さらに、阪神内回りの3~4コーナーの形状は、やや角ばった形をしており、外から押し上げるには普通の半円形のコーナーよりも外から行く馬には距離ロスが大きくなりやすく、ここまで走った距離を考えても外を押し上げるのは至難の業と言えます。

まとめ

ここまで、レースの結果を左右するコースのポイントを3点あげてきましたが、ここからは、この特徴を踏まえた枠順の有利不利、脚質の向き不向き、求めれらる適性、この3つから阪神 芝 3200mに向いた馬がどんな馬なのかをみていきましょう。

枠順の有利不利

スタートから最初のコーナーまでが比較的長いため、ある程度なら外も許容されます。が、3200mの長丁場で回るコーナーも6つともなれば、道中ずっと外、というのは許容し難く、目安として7、8枠は少し割り引く必要がありそうです。

対する内にしても、スタート~最初コーナーの距離が長いことにより、外から被されるリスクるはそれなりにあり、先行したい馬であれば、序盤に脚を使わされやすく、内すぎるのもあまり歓迎ではないでしょう。

となると、コースロスは最小限に、かつ無駄に脚を使うことなく3200mを走り切れるであろう真ん中からやや外(イメージとしては3~6枠くらい)がベターな枠なのかと思われます。

脚質の向き不向き

これは2つの目のポイントにあげた前半、とくに1周目の3コーナーから1コーナーまでの展開がカギとなり、ここで隊列の入れ替わりがあったり、ゆったりとした下り基調のレイアウトにより、自ずとペースが上がってしまえば、かなり差し向きなコースであると考えることができます。

ですが、逆にこうしたリスクは各ジョッキ―の頭の中にも当然あるはずで、かえってペースが落ちることもないこともなく、“うん”とながれが落ち着くようであれば、2周目のレイアウトはむしろ先行馬向きの内回りであることから前有利になるとも言えます。

ここについては展開が大きく左右する項目となるため、一概にどっち、とは言い切ることはできませんが、ペースの上がりやすい前半のコースレイアウトからみれば、差し優勢のコースということで一旦はお茶を濁しておきます。

求めれらる適性

前半の外回りでペースが上がったとしても、後半の内回りで当然のごとくロングスパートになったとしても、いずれにせよ3200mという距離の字面はもちろん、タフな展開になりやすいこのコースをクリアするには、何はさておき、まずはスタミナ!逆に京都で求められるスピードの要素は2周目の内回りでかき消されてしまうため、いまの速い馬場といってもほとんど必要のない適性となるでしょう。

そして、ペースが上がりやすいポイントでもしっかり我慢できる折り合いの保障というのも忘れてはならない適性のひとつとなります。


今日は今年、来年と、春の天皇賞で使われる阪神競馬場 芝 3200mのコースを“初モノ”として解説させていただきましたが、このコースは総じてスタミナ適性が求められる設定であり、淀の2マイルとはまったく別の適性が問われる舞台となります。

その意味で言えば、今年は同じ阪神競馬場で、しかも重い馬場で距離以上のスタミナが求められることとなった阪神大賞典。ここで好走した馬は素直に評価できる存在としてみて良さそうなところはあり、ここを快勝したディープボンドは、入った枠順、折り合いの保障という面においても信頼できそうな1頭であり、この組は全馬一応はチェックすべき最重要ローテと言って差し支えないでしょう。

また、展開を含めスタミナに特化した適性が本当に求められるのであれば、注目される牝馬の2頭、レンブーケドールウインマリリンにとっては過酷な舞台になることは必至であり、あまり強くは推せないというのが現在の私の見立てとなります。

次回はいつものGⅠレースと同じく、土曜日の夜中をめどにレースの展望させていただきますので、今日のコース解説と併せ、皆さんの予想のお役に立てていただけますと幸いです。